蔵前バイオ通信 第19号 2012年10月01日

  第19号をお届けします。

*******************目次 ***********************

1.猛暑の夏休みを経験

2.Kシステム普及プロジェクトが始動

3.藻培養支援プロジェクト活動開始
4.農水省の平成25年度要求予算概要

5.竹製品の商品化について改良点の検討

6.新会員岩田さんと高橋さんの紹介など

7.ホームページの内容と更新状況

8.世界のバイオマス情報佐野レポートから抜粋
(1)廃棄物からガスを回収する時代が到来
(2)食品廃棄物の嫌気性消化技術(AD)
(3)気候変動による森の枯死とその影響

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1.猛暑の夏休みを経験

7月の会議などの出席者を見ていると体調不良で欠席する人が目立った。折からの猛暑である。皆で合意して8月は夏休みにし休養することに決まった。ちょうどロンドンオリンピックが始まり現地に滞在している荒川会員から現場感溢れる画像付きの情報が届いて益々盛り上がってしまった。日本人が多いなあと感じたら、近くに日系の工場がありそこの従業員が大勢来たのだと荒川解説が入る。特に日本女子の団体競技、なでしこ・バレー・卓球などの大活躍で早朝から実況を見ることが続いた。
会議室を利用させてもらった広尾のJICAが閉鎖されることになり9月からは田町通いが常態になりつつある。

.Kシステム普及プロジェクト活動開始
「緑の募金交付金」を頂いた「間伐を促進するチェーン式集材システム」の体験学習が早速始まった。第1回目は群馬県赤城の県有林で当地のNPO「フォレストぐんま21(FG21)」菊川理事長以下の支援を受けて9月20日に行った。距離は80mだったが、下の平坦地から大小の岩が点在する沢を越えて斜度56度の急斜面を引上げるハードな所での体験実習だった。巨岩の絶壁部分は垂直に近くチェーンを張ると架線に近い状況での作業になった。3mにカット済みの3本連続上げや全幹に近い枝付きものまで無事に引き上げることができた。NPO:FG21の11名の方々や、県の森林部、地元大手林業の人々など参加30名の皆様方からは好評を得た。9月25日付け「上毛新聞」紙上にて概要が報道されている。

3.藻培養支援プロジェクト活動開始

進藤リーダー以下プロジェクトメンバーは高崎市にある武藤さんの「ホウトク農園」を訪問して藻の培養を予定している建物、ハウス内にある培養地を確認した。この近辺では所有者の高齢化のためハウスの放置が目立っていて再活用の必要性が良く分かった。その後、前橋工科大学梅津先生を訪問し、培養の研究や実験を予定している場所を見学した。その後国立環境研究所を梅津先生と一緒に訪れ中嶋室長以下に推薦される藻種株の培養方法についての知見を伺った。培養に必要な器具・機器を梅津先生に確認して頂いた。10月を目途に梅津先生の所で実験が始まる予定である。

4.農水省の平成25年度の要求予算概要
予算の中で重点実施事項として次の内容が示されている。地域活力倍増プロジェクトとして約2400億円が当てられている。6次産業化関連で200億円。地域資源を活用した再生可能エネルギーの取り組みに948億円が当てられている。内訳は地域モデルの構築、小水力発電の整備、熱エネルギー利用技術の実証研究の支援等の導入促進対策に(283億円)がある。バイオマス産業化推進の名目で路網整備、集材、運搬など間伐材の安定供給体制の構築などに(665億円)が当てられている。具体的にどのような形で施策が推進されるのかは不明であるがバイオマスタウンのようなバラマキでなく実効性のあるものを期待したい。

5.竹製品の商品化について改良点の検討
猛威を振るう竹林対策として伐採してそれを利用した製品を製造・販売することができないかの調査を開始している。まずは流通している商品の現状分析である。一般的なのは
1)パウダーにして土壌改良剤や家畜の餌さなど
2)焼いて竹炭や竹酢液を回収して使うもの
の2種類が主流である。これらについて更に用途拡大、付加価値のアップと販路拡大についての研究課題が多くあることが分かってきた。検討会で議論を盛り上げているが具体的な課題が明確になればチームを立ち上げて進める予定。
【竹林増殖問の基本情報】  渡辺 雅樹
【竹材の活用問題】竹炭    渡辺 雅樹
竹林の荒廃問題とその対策   篠崎正利
竹紙について         阿部英二郎

6.新会員岩田さんと高橋さんの紹介など
岩田さんは大手建設機械メーカーの出身。渋川市に自分の山林をお持ちで地域の森林組合ともつながりを持つ当会ではユニークな存在です。大学ではワンゲルのOBで、今でも山を歩き日本百名山を完登している健脚です。新製品の開発・営業をやってきた経験を生かして当会での活躍を期待します。高橋さんはある勉強会で当会の人と知り合い地球温暖化防止に役立つ仕事を見つけたいと参加しました。会を通して期待できる種が見つかると良いですね。
私達と深い交流のあった木の繊維を開発された山本治様(71歳)が9月9日ご逝去されました。その優れた断熱、防音効果に注目が集まり、増産体制に入ろうとしていた矢先に残念です。ご冥福をお祈りします。

**********  7.ホームページの更新状況  **********
「今世紀で人類は終わる?」マーテイン・リース著 吉澤有介
「なんでこんな生物がいるの」盛口 満 吉澤有介 
「自然に学ぶものづくり」赤池 学著  吉澤有介
シカとカモシカの違いー角と生活習慣  福島 巖
小石 ヤン・ザシーヴィッチ    吉澤有介
この外に荒川英敏さんのロンドン発信のオリンピックとパラリンピック情報があります。

**********  8.世界のバイオマス情報 **********

(1)廃棄物からガスを回収する時代が到来
世界で捨てられているゴミは年間数億トンに達している。特に多いのが農業廃棄物で農地に捨てられている。都市では紙やプラスチック系が捨てられていて燃料や化学製品に変換できる。ガス化技術に関しては有機物を超高温加熱して成分分子に分解し水素と一酸化炭素からなる合成ガスを得ることができる。廃棄物のガス化技術の成熟度は低いのでパイロットプラントが作られている。

(2)食品廃棄物の嫌気性消化技術(AD)
ごみゼロ実現の最大のターゲットは生活ごみの25~45%を占める食品廃棄物である。有機物を処理してメタンガスの回収や天然肥料を作るのに必要な技術は嫌気性消化技術である。イギリスではこの実現のための法律の制定が提案されている。アメリカでは年内完成をめどに嫌気性消化設備の建設が進んでいる。ドイツがこの分野先行している。AD技術の利用が早いほど経済と環境面の改善ができ見通しも明るくなる。


(3)気候変動による森の枯死とその影響

最近の20年、全世界で高温と乾燥した気候の影響による森の枯死が報告されている。

カーネギー研究所の報告書は森の個体現象に関する世界中の報告を精査し、その結果を分類し分析した。「森の枯死に付随する多様な影響を考えると、生態学、生物地球化学、経済学、社会科学、気象学などの専門家による学際的なアプローチが必要である。気候変動の影響による枯死についての理解を深めることが、今後の山林管理、企業の意思決定、政策決定に不可欠である。」
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第1
回Kシステム体験学習会に集う方々

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