政府の温暖化対策  2011年1月

温暖化対策を大々的に掲げて政権交代した民主党ですが、1年4カ月を経過して公約で掲げた3施策の方向が決定したと報道されました。

温暖化対策税(環境税)は、2011年度から暫定的に始め、350億円程度の増税(石油、石炭などの税額アップ)から始めて、3年半後で2400億円の税収規模とする計画です。
 再生可能エネルギーによる発電電力の「全量固定価格買い取り制度」については、来年の通常国会に関係法案を提出し、2012年度からの導入を目指すことを決めた。
としていますが、買取り価格や期間の条件は不透明で、「実効性には疑問がつく」との論評もあります。
国内排出量取引制度の導入は、議論が進まずに「導入凍結」との方針が決定
されたと報道されています。
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私見ですが、この様な惨状では、再生可能エネルギー産業の育成、加速には、ほど遠い状況にあると言わざるを得ません。

<以下、参考情報>
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排出量取引、先送りを決定=温暖化対策で閣僚委
時事通信
 政府は28日、官邸で温暖化問題に関する関係閣僚委員会を開き、地球温
化対策税(環境税)など温暖化対策の主要3施策の基本方針を決めた。このうち、国内排出量取引制度については、産業への影響や主要国が参加する温暖化対策の国際的な枠組みの成否を見極めた上で「慎重に検討する」として、目標としていた2013年度からの導入を事実上先送りした。
 同制度をめぐっては、民主党が今月政府に出した提言の中で、産業界の反発に配慮し、先送りを求めていた。(2010/12/28-13:04)

閣僚委、排出量取引導入を先送り 温暖化3施策を決定
2010/12/28 14:37 【共同通信】
 地球温暖化問題に関する政府の閣僚委員会が28日、首相官邸で開かれ、企業の温室効果ガス排出に上限を定めて企業間で排出枠をやりとりする排出量取引制度について、2013年度に予定していた導入を先送りする方針を決めた。
 効果的な削減策として昨年の民主党マニフェスト(政権公約)にも盛り込まれた温暖化対策の主要3施策の一つだが、産業界の強い抵抗に配慮した民主党の提言を受けて大きく後退した形。
 地球温暖化対策税(環境税)の11年度導入や、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の12年度導入も決まったが、実効性には疑問の声もあり、日本の温暖化対策は遅れが懸念される。

温室ガス:排出量取引13年度導入を断念 関係閣僚会議
毎日新聞2010年12月28日 15時0分 更新:12月28日 18時45分
 政府は28日、地球温暖化問題に関する関係閣僚会議を開いた。温暖化対策の主要施策として検討していた国内排出量取引制度について、13年度導入を正式に断念する方針を決めた。早ければ次期通常国会への提出を目指していた同制度の内容を定める関連法案などの議論も当面、先送りする。
 同制度では、大企業の温室効果ガス排出量に上限を設け、目標を守るため他企業と排出量を取引できる。国会で継続審議となった地球温暖化対策基本法案に主要施策として盛り込まれ、早ければ13年度の導入を視野に制度設計を検討してきた。
 しかし、7月の参院選惨敗後、制度導入に懸念を示す産業界の声に押されて政府・与党内の議論は徐々に後退。今月、国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)で13年以降の「ポスト京都議定書」の枠組みが決まらなかったこともあり、「実施を急ぐ必要はない」との意見が大勢を占めた。
 政府方針では、同制度について「産業に対する負担や雇用への影響、国際的な(温暖化対策の)枠組みの成否などを見極め、慎重に検討を行う」と結論。太陽光や風力などで発電した再生可能エネルギーを電力会社が一定期間、同じ価格で買い取る全量固定価格買い取り制度について、「12年度の制度導入をめどとして慎重に検討し、制度導入後も柔軟に見直しを行う」ことなども決めた。【江口一】

 ◇経済界や労働界に配慮
 今回、政府が排出量取引制度の導入を先送りした背景には「ねじれ国会」で政策の推進力を失い、景気回復の遅れも伴って経済界や労働界の慎重意見に配慮せざるを得なくなった事情がある。また、13年以降の「ポスト京都議定書」の国際枠組みが固まっていないことも影響したとみられる。
 政府が掲げ、地球温暖化対策基本法案に盛り込んだ「温室効果ガスを20年に90年比25%削減する」目標は、米国や中国など主要排出国が入る枠組みが前提条件だ。このため政府は13年以降の削減目標を曖昧にし、排出量取引の対象でもある企業・産業部門の削減目標も決めていない。
 しかし、排出量取引制度の創設は政権交代時のマニフェスト(政権公約)に明記された主要政策の一つだった。しかも、ポスト京都が不透明だからといって、世界は温暖化対策をやめたわけではない。
 むしろ今年のCOP16では、米中も同意した次期枠組みの基礎となる「カンクン合意」がなされ、日本も賛同した。政府は「ポスト京都」の削減目標やその達成のための戦略を早急に明らかにし、国民に丁寧に説明する必要がある。【江口一】

温室ガス排出量取引、導入先送り…政府方針
(2010年12月28日13時17分 読売新聞)
 政府は28日、地球温暖化問題に関する閣僚委員会を開き、2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減するという政府目標達成に向けた主要3施策の基本方針を確認した。
 焦点だった温室効果ガスの国内排出量取引制度の取り扱いについては「慎重に検討を行う」との表現にとどめ、事実上、導入を先送りすることになった。
 同制度では、原則として企業にガスの排出上限を設け、排出量の過不足分を企業間で取引する。市場原理を通じて、ガス削減を進めるという狙いがある。環境省などでは13年度の導入を目指しており、今年度内にも具体的な制度設計に着手する必要があった。
 基本方針では、同制度について「地球温暖化対策の柱」と評価する一方、
「企業経営への行き過ぎた介入、マネーゲームの助長といった懸念がある」と指摘。国内の産業への負担や雇用への影響などを見極めながら、「(導入は)慎重に検討を行う」とした。

国内排出量取引の導入凍結 政府、産業界に配慮
日本経済新聞2010/12/28 11:34 (2010/12/28 13:23更新)
 政府は28日、地球温暖化問題に関する閣僚委員会を開き、基本方針を了承した。国内排出量取引制度の導入について「国際的な枠組みの成否を見極め、慎重に検討する」と明記。当面、凍結する方針を示した。コスト増を懸念する経済界に配慮し、「創設する」とした民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)から表現が後退した。
 菅直人首相は「鳩山由紀夫前首相が打ち出した方向性をさらに充実したものだ」と強調。温暖化ガス排出量に関して2030年に1990年比で30%削減するとの目標も示した。
 基本方針では地球温暖化を巡る主要政策と位置付ける排出量取引制度や、地球温暖化対策税(環境税)、電力会社による再生可能なエネルギーの全量買い取り制度について方向性を示した。環境税は来年度の導入を明記。全量買い取り制度に関しては来年の通常国会に関係法案を提出し、2012年度からの制度導入を目指す。このほか環境関連産業を伸ばす「グリーン・イノベーション」を進める総合戦略の策定もうたった。
 国内排出量取引制度を巡っては第16回国連気候変動枠組み条約締約国会議
(COP16)で13年以降の国際枠組みづくりを先送りしたことで、導入凍結論が広がっていた。民主党も導入凍結を提言しており、政府・民主党が足並みをそろえた格好だ。

排出量取引制度は棚上げ 政府、温暖化基本方針を決定
産経新聞2010.12.28 22:26
 政府は28日、地球温暖化対策の主要3施策に関する基本方針を決めた。温室効果ガスの削減策として浮上している排出量取引制度の導入は、経済界からの反発に配慮して棚上げされることになった。再生可能エネルギーの全量買い取り制度については平成24年度から、地球温暖化対策税(環境税)については23年度から導入することを明記した。
 政府は同日午前、首相官邸で菅直人首相らをメンバーとする関係閣僚委員会を開き、基本方針について討議。菅首相は「イノベーション(技術革新)によって世界を救うことが日本経済にとって重荷でなくプラスとなる。自信を持ってこの方向で進め来年につなげたい」と話した。
 委員会では、企業ごとに温室効果ガス排出量の上限を設け、企業間で排出枠を取引する排出量取引制度について、「慎重に検討する」方針が確認された。政府はこれまで25年度の制度導入を目指していたが、企業の負担が増えることや温室効果ガス削減に関する国際的な枠組みが固まっていないことなどから、実質的に棚上げされたかたちだ。
 太陽光や風力などで発電された電力を電力会社が固定価格で買い取る全量固定価格買い取り制度については、来年の通常国会に関係法案を提出し、24年度からの導入を目指すことを決めた。環境税については、税制改正大綱で決まった23年度から現行の石油石炭税の税率を引き上げる方針を追認した。
 政府は2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減する目標に向け、3施策の導入を定めた「地球温暖化対策基本法案」を国会に提出している。しかし7月の参院選後に開かれた臨時国会では「ねじれ国会」の下で継続審議となり、来年の通常国会でも成立が危ぶまれている。

       渡辺 雅樹

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