遺伝子のしくみ(2)   池北雅彦・小原康治   ナツメ社

遺伝子とはなにか

   ***** 最も基本的な事項 *****

1. 遺伝子の発見
分子生物学最大の発見は1953年ワトソンとクリックによる
「DNA2重ラセン構造」の解明である。

これが生命観に与えた影響は:
(1)全生物は共通な遺伝子プログラムをもっている。
  ― 人間も微生物も基本的な仕組みは同じである ―
(2)遺伝物質は不動のものではない。
  ― 変動する融通性、環境に対応する ― 
(3)ヒトの設計図には意味の無い「ムダ」部分がたくさんある。
  ― 将来への発展性 - 
(4)遺伝子は個体間で著しい差がある。
  ― 多様性、兄弟でも顔が違う - 

2. 細胞の中のゲノム
細胞の中には核がありその中にゲノムと呼ばれる染色体の集合がある。
ヒトの場合染色体は23種類入っていて、それぞれに蛋白質の作り方、
作るべき時期や量など処方箋が書いてある。これら処方箋1枚1枚が
遺伝子である。
この染色体を作っている物質がDNA(デオキシリボ
核酸)である。
その構造が長い糸2本が互いに巻きつき合った2重ラセン形になって
いる。

3. DNAの構造
リン酸と糖が交互に並んだ鎖状の紐2本を4種類の塩基が並んでくっ
ついた構造になっている。この塩基はアデニン(A),グアニン(G)
シトシン(C)、チミン(T)でA-T、G-Cが対になって2本の
鎖に足場のようについている。

ヒトゲノムの場合この塩基の対が30億ありその配列が遺伝子情報と
して記録される。

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原核生物と真核生物
生物を細胞の構造で分類すると2種類になる。
原核生物は核を持たない細胞でDNAは塊として存在している。
バクテリアやラン藻類などがその例である。
真核生物は核を持っている細胞で原核生物の5~10倍の大きさを持つ。
核膜に覆われた核内にDNAが染色体として保存されている。
細胞内にはミトコンドリア(エネルギーを作る)、リボゾーム(タンパク質の合成)、
小胞体(タンパク質の運搬役)、ゴルジ体から成っている。
ゴルジ体に運ばれたタンパクはここで糖の鎖を付けられる。
糖タンパクは性質が変り水に溶け易くなるので生体間を移動し易くなる。
細胞の中では数百の化学反応が行われておりこれを代謝と呼んでいる。

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