日本車競争力の源泉 2011年1月6日(朝日新聞)

要約とコメント
会員の渡辺さんがいつも主張している言葉:「目標は高く果敢に挑戦せよ」
は彼がホンダに勤めていた時のエンジン開発の経験から身に染み込んだ言葉
である。

これに関連する新聞記事があったので紹介します。

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      ホンダのCVCCエンジンの開発
 40年ほど前米国の大都市は光化学スモッグに悩まされていた。
この原因である自動車の排ガスを大胆に規制する法律「マスキー法」が成立
した
(1970)
「有害成分であるCOHCNOの排出を従来の1/10に抑えよ」
という厳しい規制であった。
「実行不可能な悪法だ」と当時世界最高の技術を誇っていたビッグ3は激しく抵
抗した。だがホンダの本田社長は
「4輪車後発のホンダが先発組を追い越す最大のチャンス」
と捕らえた。
それまでのエンジンは安定的にガソリンを燃すため完全燃焼より多めの燃料を供
給する構造になっていた。

空気を増やして完全燃焼に近づければCOHCは減らせるが、NOは増えてしまう。
ホンダの開発構想は燃焼室を2ケ(主室、副室)に分けて燃焼させるCVCCエン
ジンの開発だった。
容積の小さい副室で濃い燃料に点火すると、燃料を薄くした主室に燃焼が伝わり安
定かつ低温でゆっくり燃える技術で、燃費向上にもなった。

ホンダは技術者を投入してわずか2年後には世界で初めてマスキー法規制をクリア
した。
ホンダ車が北米市場で飛躍する原動力になった。
追いかけたトヨタや日産も排ガスを後処理する方式と電子制御燃料噴射装置の開発
で法規制をクリアした(現業界基準)。
日本車の排ガス性能は現在、マスキー法規制値の数十分の一以下にまで向上している。
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市民の苦しみを排出ガス規制の法案に仕上げた米国社会の活力とホンダの挑戦に感
謝する。
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トヨタのハイブリッド車の開発
90
年代初め当時の社長が「21世紀トヨタ車が提案すべきクルマとは?」と社内に問
いかけた。
94年に開発チームが発足し「環境と資源問題に正面から向き合うクルマ」を目指した。
検討結果として燃費を
50%向上させる企画書をまとめたが
50%ではダメだ、100%アップしろ」
と副社長に突き返された。
ハイブリッドシステムは各社で研究されていたが課題が多く実用化はずっと先だと見
られていた。チームはこれの開発を目標に定めた。

97
年販売開始にこぎつけ、改良を重ねながら省エネ支持の社会背景があって順調に売
り上げを伸ばしている。

        記  福島 巖

カテゴリー: 科学技術 パーマリンク

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