蔵前バイオ通信 第5号 2010年06月24日

*******************目次 ***********************
1.認定NPO法人「K-BETS」総会
2.
小金井プロジェクトに参加
K集材システムの実証試験の予算申請
4.誤解だらけの日本林業
5.ヒートポンプを利用して土壌温度を上げるラジアント社の例
6.ホームページの内容と更新状況
A.コラム技術者がバイオマスを語る
B.ニュース&トピックス
7.世界のバイオ情報-佐野レポートから抜粋
(1)セルローズ系エタノールの開発状況
(2)合成天候をめぐる国際論争

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1.  ­­­­認定NPO法人「K-BETS」総会


5月7日の理事会及び5月18日の総会で次の案件が審議、承認された。
(1)平成22年度人事案件:今期は非改選期に当たるため米谷栄二さんが新理事
になる件のみ。稲生副理事長が事務局長に復帰する。
(2)平成21年度事業報告と決算報告。
(3)平成22年度事業計画と予算
いままで運営会議を毎月開いて案件の審議と各委員会、プロジェクト、研究会活動の
報告を行ってきた。本年度からは体制を変え毎月理事会を開いて審議事項の検討と決
議を行う、その後全員参加による報告事項、連絡事項を中心とした例会を開くことに
した。会をよりオープンな形にして大勢の会員参加が可能になるよう改定する旨小西
理事長より報告があった。


2.              小金井プロジェクトに参加する


小金井市が都の資金を得て「低炭素ライフステーション」の活動をしている。市民
目線での活動で様々なアイデアが提案されている。当NPOが担当する分野はバイ
オマスキッチン、対話重支エレベーター、微少水力発電などである。
エレベーターは人体に相当する錘を容器に入れた水で代用し滑車の原理でゆっくり
対話しながら上下しようとするもの。超小型発電は雨樋を通る程度の水量で発電し
て小さな照明や野外設置の計器類の電源に使えないかという試み。
今まで便利な社
会を追求してきたが身近な所を振り返って見ると工夫次第で地球温暖化を食い止め
る種がたくさんあるということで集まった人達のユニークな活動である。


3. K集材システムの実証試験の予算申請


前報でも報告したとおり日本の山林にあった集材システムであるこの方式を実証すべ
く申請書を作成提出しているところ。
http://kuramae-bioenergy.jp/news/?p=294
時期を分け前半はNEDO「新エネルギーベンチャー技術革新事業」の助成金を得て
関連する山林で実験ができるように考えている。
各地でボランティアによる間伐活動が行われているが切った木は現地に放置されたま
まになっていて参加者の間でも問題になっている。
これを回収して生かすことができ
れば環境対策としても有効なのでこのテストを兼ねて貢献したい。


4. 誤解だらけの日本林業


日経ビジネスオンラインに7回にわたって内閣審議官梶山恵司氏とフリーライター戸
矢晃一氏共著の「誤解だらけの日本林業」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20100216/212806/
が発表になった。日本林業衰退の原因について掘り下げて調査してみると一般の人が
常識と考えている事とはあらゆる点で違っていた。これら正しい知見に基づき再生を
どうしていくかを論じたもの。
林業先進国のドイツなどとの比較を通して違いを豊富
な写真と図で説明している。一方政府は欧州の専門家を呼び日本の山林の状況を詳し
く調査してもらった。その結果彼らの意見は自然環境に配慮した林業の育成を目指す
べきで収益優先の短伐期全伐には反対であった。西欧の大型機械の導入ではなく日本
の風土にあった作業システムの導入をはかるべきとの林業へのアドバイスもあった。




5.ヒートポンプを利用して土壌温度を上げる


ラジアント社http://www.radiant.co.jp 杉浦武雄社長から同社の深層地中加温システ
ムの話を伺った。夏場の野菜ハウス内は高温にさらされる。この熱を地中の配管に流
して土壌の殺菌に利用する。夜間や冬場には太陽光やバイオマス燃料で加熱した温水
で地下土壌の温度を上げて植物の生育を促進しようとする方法である。
大気の温度でなく土壌温度を上げることで化学肥料や農薬なしで栄養価に富んだ野菜
や果物の栽培を行っている。


**********  6.ホームページの更新状況  **********



—- A.コラム技術者がバイオマスを語る —-(1)「動的平衡」  -生命はなぜそこに宿るのかー  福岡伸一 木楽舎
身体のあらゆる組織や細胞の中身は常に作り変えられ更新され続けている。
このネットワークの一部を他の部品と入れ替えたり局所的な加速を行ったりすること
は効率を高めるかに見えても結局は平衡系に付加を与え、流れを乱すことになる。
遺伝子組み換え技術は期待されたほど農産物の増収にならず、臓器移植は延命医療に
なっていない。


(2)里地里山文化論 養父志乃夫 著 (社)農山漁村文化協会
稲作文化の起源は長江中流とみられる。中国の戦乱期に大量の移民がその文化をもっ
て日本にきた。水田稲作の導入と拡大は、自然環境と共存しながら循環型社会の基礎
を作り上げていった。昭和35年ごろまではこの有機農業が成立していたが人口が8
千万人を越えるとこのシステムが困難になった。

(3)月の魔力  A.Lリバー  藤原正彦・美子    東京書籍
筆者A.Lリバーさんはバイオタイド理論の提唱者として有名です。水分8割、固形物
2割の地球と人体の比率も同じ構成です。地球が月の引力で干潮を繰り返すと同様体内
の水分もその影響を受けて人体が反応する。出産や犯罪など満月の時期に起き易い。
色々な面で月のリズムが人体に及んでいることが分かる。


—-
 B.ニュース&トピックス —-

(1)高山不動を訪ねる 3月 3日 


(2)日和田山(305m) 4月14日 

(3)初夏の伊豆ケ岳  5月25日


(4)セルローズ系原料のバイオマス燃料について

質問に答えた内容。サトウキビなどは自動車の燃料になっていますが木材や一般のセ
ルローズ系原料は一度糖類に変換してから作ります。この変換にコストがかかるため
苦戦しているのが現状です。


**********  7.世界のバイオ情報-佐野レポートから抜粋  **********


米国で次世代の目玉商品として注目されてきたエタノールの生産が足踏みしている。
2007年に公式に立てた生産目標は2010年に1億ガロン、2020年には160億ガロン
であった。しかし実際に生産できたのは2009350万ガロンに過ぎず環境保護庁
(EPA)は2010年の目標650万ガロンに下修正した。技術問題と資金調達が困
難になったことが低迷している大きな原因である。しかしエタノールの生産は着
実に増加しており昨年3月20万バレル/月だった生産が本年3月85万バレル/月と
4倍に増え新記録を作っている。Zeachem社はコストダウンを狙ってまず
酢酸エチルを作りそれからエタノールと2段階に分けて作る工場を建設中。
バーデュー大ではセルローズに含まれる5種の糖全てを醗酵させるイーストの改
良に成功したとの報告もある。

(2)合成天候をめぐる国際論争
地球温暖化防止を人工的に行う方法には大別して二つある。
A.宇宙空間にミラーを設置するか、成層圏に反射性エアロゾルを撒布するなど
して太陽放射を制御する方法
B.海洋への鉄を撒布することなどによる光合成の促進、無酸素キルン内でのバ
イオマスの燃焼や木炭の地中埋蔵などによって二酸化炭素を隔離する方法である。
気象が人間の操作によって制御する色々な手段は考えられる。しかし遺伝子操作
で生物に干渉すると同様自然への干渉である。介入の正当性、全人類の合意、予
測できない自然の反応などについて問題がある。特にAの場合操作によって利を
得る地域と不利になる地域が必ず発生する。政府と民間で盛んに議論されている
というが原子爆弾の製造と同じ程度の恐怖を感じる。気候システムは地球上にた
だ一つしかなくすべての人類はその中で暮らすことが運命づけられているという
厳しい事実がある。

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