蔵前バイオ通信 第25号 2013年10月01日

*******************目次 ***********************

1.活動概況
2.Kシステムの改良・改善進捗

3.熱の固定価格買取り制度英国で始まる
4.バイオマスボイラーの経済性

5.竹林問題への対処
6.NFK式バイオマスガス化炉の一般公開

7.当会のパンフレット更新
8.ホームページの内容と更新状況

9.世界のバイオマス情報
*************************************************

1.活動概況
猛暑の8月は活動を全面的に休みました。9月に入り技術情報会議で話題になったことの例2件。
(1)2020年の東京五輪招致に成功して明るい目標ができた。招致のキーになったのは原発地下水の汚染問題であった。汚染源の地下水を遮蔽する3社の具体案の内容を討議した。政府が前面に出てこの問題に取り組む姿勢を示したことに期待したい。
(2)世界的に石炭火力の比率が高くなっているが旧来の発電所の発電効率が低く環境面での問題を抱えている。日本のメーカーは飛び抜けて高効率発電の技術は持っているがその分製造コストも高いのでインドなど世界の市場では中国製には勝てないというジレンマを持っている。

2.Kシステムの改良・改善進捗
前報で
三井物産環境基金に申請書を提出してシステムのPR活動と改善活動を推進する計画でしたが今回はパスできませんでしたので対応を検討中です。改善活動につきましては次のようなアイテムで進行中です。

(1)チェーン専門メーカー某社との共同研究を開始
問題点として残っていたチェーン自体の改善が進みそうで期待しています。カラビナの着脱に時間短縮の件・・既設工具はあるが外れないようにするための工夫が必要である。チェーンを繋いだり外したりする連結環は既存品がありこの応用研究をやってみる。
(2)動力源を油圧にする検討
既存の小型パワーショベルのようなものの車両と油圧ユニットを利用してスプロケットを駆動したら安価で軽量な装置ができそうであるとのアイデアで検討に入っている。

3.熱の固定価格買取り制度英国で始まる

荒川会員のレポートによると各家庭で使われる再生可能エネルギーを利用した熱の使用に対しても固定価格買取り制度のような仕組みを考えて世界で最初に実施する。電力に関しては既に先進国で実施されているが大きなエネルギー消費の柱である熱に適用したのは再生エネルギー利用促進の大きな支援策である。バイオマスボイラーの利用や太陽熱温水などが対象である。http://www.kuramae-bioenergy.jp/news/?p=831
更にこの方式を採用したゼロカーボンハウスの取り組みは昼間の太陽光発電の余剰電力を売電するのではなく温水に転換して利用するよりゼロに近づくトライアルになっているようです。http://www.kuramae-bioenergy.jp/news/?p=835

4.バイオマスボイラーの経済性
本多会員が塩原温泉に設置されているバイオマスボイラーの運転内容について調査をしています。
http://www.kuramae-bioenergy.jp/news/?p=844
導入前後のA重油の使用実績からその効果を判断しています。設備投資額、運転費用、燃料代を考慮しても現在の重油価格で導入によって大きな成果を得ていることは間違いありません。木材の乾燥の場所や設備・材料置き場のスペースが必要な事、ピーク対応及び緊急対応には重油の方が効果的なのであることなどを導入の際は考慮する必要があります。この設備の積極的な導入を応援していきたい。

5.竹林問題への対処
竹の資源としての有効活用を図るべく竹タスクチームを発足して活発な活動を推進中です。関東地区で竹林被害の最も影響を受けている千葉地区では「竹もりの里」とタイアップし、竹炭の普及促進をはかるべく炭化炉の導入と土壌改良を狙った連作障害の効果について実験しながら進めています。

6.NFK式バイオマスガス化炉の見学会実施
NFK社の超高温水蒸気ガス化炉はNEDOの事業化研究(フェーズC)の段階に進んでいます。実験設備を飯能市の大河原木材に引っ越し7月より試験が始まっています。この実証炉を10月2日関心を持つ約30人の人に解放、見学会を開きました。設備の内容の説明と現場見学に熱心に聞き入り質疑応答が続きました。設備のコンパクトな仕上がりに驚きの声も聞かれました。
7.当会のパンフレット更新
PR用の資料としてパンフレットを発行していますが会の活動内容が充実してきていますのでその事例やどのような組織体で行動しているかを紹介しています。

**********.ホームページの更新 **********
(1)国産のスギのガードレールに挑む 飯村豊
http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=311

(2)大規模洋上発電が部分稼動 (英国) 荒川 英敏

 http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=303

(3)第9回森林文化講演会(2013年8月3日)吉澤有介

 http://www.kuramae-bioenergy.jp/news/?p=830

(4)レザーを用いてバイオマス量を測定  吉沢有介

 http://www.kuramae-bioenergy.jp/news/?p=827

(5)オオカミの魂(こころ)吉沢有介
http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=312
オオカミの生態研究者の報告 人間が誤解している

**********.世界のバイオマス情報 **********

(1)バイオ燃料の原料として期待される藻
平成259月に東京で藻類バイオマス国際シンポジウムが開かれた。そこでは、藻産業に関する最新情報と専門知識をお互いに共有する方針が明らかにされた。栽培生産性が高く、塩水のなかでも育ち、農地の利用にもほとんど影響を与えない藻は、多くの国でバイオ燃料の原料としての価値が高い。
(2)トウモロコシ・サトウキビ由来以外のバイオ燃料とブタノール
米国の大学連合チームが、セルローズを分解する微生物と、その糖を利用する微生物の組み合わせでバイオマスからイソブタノールを直接生成する研究で成果を上げた。また、スウェーデンのKTH王立工科大学は浮遊性藍藻などの微細藻のアオコからブタノールを作る方法を開発した。エネルギー密度がエタノールより高いブタノールがガソリンとの混合に有望である。ただ植物から生成するのはエタノールより難しく、使用できる微生物も限定される。
(3)日本の太陽光発電の展望
2012
年の日本の太陽光発電開発は大きく進展したが、確実に世界の大市場になるには疑問がある。メガソーラーの拡大が目立つが、グリッドシステムと連動していない。エネルギーミックスの多様化も進められているが、それには積極的な規制緩和が必要である。いまのように新しい問題が浮上するたびに新しいルールを書き換える状況では、スペインが経験したような安定的な成長は期待しにくい。(海外から見た日本の評価)
**********************************************
img_6105.JPG
バイオマスガス化炉発電設備の見学会

************************************************************

カテゴリー: メルマガ:蔵前バイオ通信 パーマリンク