蔵前バイオ通信 第20号2012年10月03日

  *******************目次 ***********************

1.Kシステム普及プロジェクト第2回目「飯能の森」にて実施

2.NKF技術支援プロジェクト
3.メーリングリストの改訂

4.竹林タスクチームの発足
5.大震災の後でも豊かな海は残った

6.大型木質バイオマス発電の問題点

7.ガシファイヤーの検討

8.ホームページの内容と更新状況

9.世界のバイオマス情報-佐野レポートから抜粋
(1)初の木質チップ製ガソリン

(2)藻から油への高速変換
(3)拡大続く世界の再生可能エネルギー市場

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1.Kシステム普及プロジェクト第2回目「飯能の森」にて実施
「緑の募金交付金」を頂いた「間伐を促進するチェーン式集材システム」の体験会第2回目を飯能市原市場の市有林にて西川広域森林組合と共催、飯能市の後援で11月29日に行いました。今回はこれまでデモ用に使用していたプロトタイプに変えてより実機に近い牽引馬力を上げた駆動装置で行いました。約30度の斜面で木材を連続して引き下ろす作業とそれをボートウィンチを使って土場に積み上げる状況を見てもらいました。引き下ろす作業は速度も上がり順調でしたがチェーンに引っかける新しい金具の取付け・取外しに時間がかかる問題点がありました。ワンタッチで操作できる金具の改良が必要です。飯能市内、国土緑化推進機構、製紙連合会関係者など広い地域から39名の方々に参加して頂きました。協力いただいた飯能市の森の番人8人や私ども13人などを加えますと60人以上が狭い空間で体験会を実施したことになります。たまたますぐ横でヘリコプターによる集材現場とかち合い、高コストの集材方法と低コストの集材方法の両方が見られる体験会となりました。

2.NKF技術支援プロジェクト
NFK
殿は「超高温水蒸気バイオマスガス化熱電併給事業」に関しフェーズABの段階を完了し、今回は最終のフェーズCの実証試験に申請して合格した。NEDOの「新エネルギーベンチャー技術革新事業」の一つとして認められたもので実証試験は間伐材のガス化及びその発電・熱利用を事業者と共同で実験するものです。飯能の製材所での現場実験の実施、バイオマス(原料)のガス化と熱利用、装置のコストダウンなどについて協力する内容です。福島県川俣町でのガス化プラントや排熱などを施設園芸などに効率的に利用することなどにも協力を予定しています。リーダーは保田理事。
3.メーリングリストの改訂
会員間のメール数が増えてきていますのでリストの改訂を行いました。Member@ は正会員のみとし個人賛助会員の方にはsup_mem@(新規)を適用します。正会員で例会以外の会合やメールでの情報交換に参加している方に対してはactive@(新規)を適用し容量制限 5MBまで認めます。開催案内、例会、ミニ講演会や一般技術情報の提供などは全員に送信します。2ケ月ごとに発行しているメルマガ(このメール)は会員宛が多かったのですが日頃お世話になっています皆様方にもっと活動実態を知っていただくために今月号からお送りします。不要でしたらその旨連絡下さるようお願いします。

4.竹林タスクチームの発足
林業システム研究会の中で竹林関係の問題を討議してきて内容が詰まってきましたので次の2点、「竹粉製造と販売拡大」と「竹林の燃料化」に焦点を絞りNPO:千葉県の「竹もりの里」、「東工大中崎研究室」など関係先と連携して事業開拓を進めることにしました。その組織として篠崎正利会員をキャップとする4人のタスクチームを発足しました。

5.大震災の後でも豊かな海は残った

118日国土緑化推進機構主催の第4回間伐材活用シンポジウムが開かれ http://www.kuramae-bioenergy.jp/news/?p=750 NPO「森は海の恋人」の理事長畠山重篤氏が報告した。彼が森に木を植えはじめたのは25年前でですが昨年の311の大津波が襲来し、事業の設備一切も流され海はもう死んだとあきらめていたところ、ある日、港に小魚が現れた。調べてると牡蠣が食べきれないほどのプランクトンが湧いていた。間伐材で筏を組みなおし養殖を再開、一年もたたない4月頃には牡蠣が丸々と太って筏が沈みかけていた。大川上流の森がほとんど無事だったので森の栄養が加わり、海が攪拌されてより豊かな魚類の住家になっていたわけです。

. 大型木質バイオマス発電の問題点
製塩業大手の「日本海水」は赤穂市の微粉炭発電設備の老朽化更新に当たってバイオマス発電事業に参入すると発表した。発電出力は16,530kwで2割を製塩、8割を売電にする方針で2015年稼働を目標にしている。FIT制度を活用した事業参入であるが木質チップを近隣から毎日一定量、年間合計2030万トンを収集する必要がある。広域な範囲から独占的に集める必要があり、無理な間伐を招いたり、他の事業者に必要な木材が渡らないといった問題を出す懸念があります。

7.ガシファイヤーの検討
木材の熱利用促進の一手段としてチップやペレットに加工しなくて丸太をそのまま投入できるガシファイヤーに注目して取り組んでいます。このたび山梨県道志村で5基の設備を「道志の湯」に導入して稼働している副理事長の中嶋さんに話を伺った。導入の目的は重油ボイラーでの給湯をこの炉に切替え石油の購入減を狙ったものであります。問題点は半年間乾燥した木材を使うようにしているが乾燥が均質でなく水分の多い材料は燃焼が悪く発熱量が小さい事とススがでるので乾燥管理が必要になることのようです。

**********  8.ホームページの更新状況  **********

(1)天然ガスと炭素税について 渡辺雅樹 http://www.kuramae-bioenergy.jp/news/?p=749
(2)尾鷲の山について 速水・三浦の書から メール交換 福島、吉川http://www.kuramae-bioenergy.jp/?p=741
(3)化石の分子生物学 更科 功著 吉澤有介 化石のDNA分析で何が分かったか?http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=245
(4)草地と日本人 須賀丈、他 吉澤有介
http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=244

**********  9.世界のバイオマス情報 **********

初の木質チップ製ガソリン
木質チップを原料に使用する業界初のKiORのエタノール量産工場が稼働した。工程はチップに粉末触媒を低圧混合するのが特徴でである。このバイオ原油は通常のドロップイン燃料としてガソリンと混合してガソリンスタンドで供給できる。この技術は、自然界で何百万年もかけて作った油を、数秒に短縮して作ることのできる画期的な技術である。

藻から油への高速変換
藻から油を取り出すため藻を乾燥してから抽出しているがコストがかかるため湿式処理に向かっている。湿式法の利点の一つは油を抽出するだけではなくタンパク質と炭化物も分解できることである。今まで高圧煮沸し、10-90 分間加熱処理をしていきたがこれを1分間の処理(600度)で65%の藻をバイオ原油に変換する方法を開発している。試料はナンノクロプシスという海洋微細藻である。短時間でバイオ原油に変換できるのは急速加熱によってせっかくできたバイオ原油が分解し、水中に拡散するなどの不要な反応が妨げられると推定している。
拡大続く世界の再生可能エネルギー市場
再生可能エネルギーの市場と政策の枠組が急速に進展し、不況の中でもすべての関連分野で成長が続いている。白書では2010年の世界全エネルギー消費のうち、再生可能が推定16.7%を占めた。従来からのバイオマス (推定8.2%) に対し、8.5%を占める新再生可能エネルギーの拡大が大きい。 最も技術が進んだのは太陽光で、供給能力も小さなベースから平均年率58%拡大し、次いで37%の集光型太陽発電、26%の風力だった。 成長の地域差ではEUの発電能力拡大分の71%超を再生可能技術が占めた。特にドイツは発電、発熱、輸送燃料の各分野で主導的立場にある。高度な配電網を持たなくても済む開発途上国での再生エネルギーの開発、利用が盛んになっている。

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