早春の多峰主山(とおのすやま) 2011,4,11 吉澤有介

西武線小さな山旅(6)

 飯能市街からすぐの天覧山の一段奥にある標高271mの多峰主山は、やさし
く登れて眺望が良いので市民に親しまれているばかりでなく、東京からも小学生
などの手ごろな遠足コースになっている楽しい山です。
まず名前が珍しいので、地元以外で読める人は少ないでしょう。
多い峰が古語でトウ、主ヌシが訛ってヌス、ノスになったといいます。

今回は午後から飯能市の自立経済圏構築を考える4大学(駿河台大学、慶大、
東大、東工大
OB)協議会が予定されていたので、朝のうちに歩いてみようと思い
立って、
10時に家を出て大泉学園から電車に乗りました。
311のあの痛ましい大災害発生以来の初めての山歩きです。
この日は薄ぐもりでしたが、沿線はちょうど満開の桜が目を楽しませてくれまし
た。
 飯能駅から西北方向に、今日の会場の商工会議所の前を過ぎてしばらく歩
くと、観音寺、諏訪八幡神社と続き、その先がムササビが遊ぶという名刹の能仁
寺になります。
このあたりは中央公園で、見事な桜の下で花見客がもう宴会を始めていました。

 能仁寺の右の小道をそのまま天覧山へとのんびり」歩きます。
ここは昨年秋に巾着田のヒガンバナを訪れた旅でご紹介したコースです。
芽吹きの始まった柔らかな日差しの頂上に着いたのがちょうど正午でした。
飯能市街が目の下に広がり、駿河台大学の先に加治丘陵が続いて、いつ来ても素
晴らしいところです。ここにいたのは中年?の女性二人連れだけした。

眺めもそこそこに多峰主山に向かうことにしました。北側に降りると小さなあ
ずま屋があって、そこからコースがいくつかに別れます。
一本杭の道標があるのですが、その標識が何ともわかりにくい。
飯能駅でもらったパンフレットの地図と合っていないのです。
小さな山ですから迷ってもたいしたことはないのですが、これではまるで役に立
ちません。スイスのトレッキングコースの案内標識は、誰でもわかる実に丁寧な
ものでしたね。もうすこし考えて欲しいものです。

 ここは適当に判断して右からの尾根道に入りました。ゆるやかな小道ですが、
やがてヒノキの人工林になり、間伐はしているものの切捨て残材が累々と散らば
っていました。まことに残念な話です。
これなどは休日の市民ボランテアで玉切りして、町まで下ろす手はないでしょう
か。貴重なエネルギーになることでしょう。

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尾根の道                林地の残材

 地図の道を確認しながら、誰にも会わない山道をのんびりと歩いているうちに、
周りはいつしか豊かな自然林になっていました。
このあたりが西武の森なのでしょう。物音ひとつしない深山の雰囲気です。
こんな素敵な散歩道がある飯能市民が羨ましくなりました。

 もう目指す多峰主山はすぐそこです。
やや急な石段を登りきると標高
271mの頂上でした。

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     多峰主山の頂上            天覧山と飯能市街                            ここからは飯能市街はもとより、奥多摩から奥武蔵まで一望できて、やはり早
めにきた甲斐がありました。時刻はまだ
13時前で、午後の会議には十分間に合い
そうです。
ここではじめてゆっくりと腰を下ろして、至福のおにぎりタイムにしました。
周りには
45人のハイカーが静かに休んでいるだけです。
アセビの花がきれいに咲いていました。

 しかし空がすこし怪しくなってきました。予報どおり前線が近づいてきたよう
です。時間も気になるのですぐに下ることにして石段を戻り、常盤御前の伝説が
あるという見返り坂のコースに入ってみました。このルートはパンフレットでは
薦めていなかったのに、なんと一番心地の良いゆるやかな山道でした。
しかも下った先は西武の森の谷地に出るという変化があって、そこには牧野富太
郎先生が発見した飯能笹があったのには一驚しました。
この地域だけの固有種で、埼玉県指定の天然記念物なのです。
dscn3812.JPG      

     西武の森の谷地
ここからはもとの天覧山に戻ることもできますが、そのまま流れに沿った道を下
ってみたら、朝通った能仁寺に出てしまいました。これは楽でしたね。
思いがけない最短コースだったわけです。西武グループのパンフレットは最後ま
でチグハグでした。

 本町にある商工会議所に着いたのは1415分前、ゆうゆうと林業研の皆さんに
合流することができました。
次回には皆さんとも一緒に歩いてみたいお勧めコースとしてご紹介した次第です。
「了」

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