4千万本の木を植えた男が残す言葉 宮脇 昭 河出書房新社

多様な環境のもとでこそ人も植物も育つ

日本経済の高度成長期には規格にあった優秀な製品を作ることで世界中を凌駕して
いった。
しかしもうそういう時代は終わった。一人勝ちのビジネスは自然の法則に反する。
「競争」、「我慢」、「共生」が自然界、生物社会の掟である。

個性のぶつかり合いでこそ人は成長していく。
人間も木も「混ざるが一番」である。

自然の森の掟に従った混植、密植が植林における宮脇方式である。

雑草は強くない

作物を育てる時雑草抜きには大苦労する。
雑草を根絶する唯一の方法は雑草取りをやめることである。
1、2年の放置で草丈の長いものに変わり、3年を越えるとススキやチガヤになっ
ていく。
草がない土の上に、抜く時に種を適当にふるい落とし翌年発芽の最高条件を整える
から一斉に雑草がはびこってしまう。

最適条件を整えることが重要

の生育環境は背の高い高木層、中木層、低木層、草木層と多層群落を作って太陽
の光を無駄なく享受できる環境をつくってやることである。
色々な木を密植しても淘汰しあって適合するものだけが生き残る。

スギの単一栽培のような不自然な姿は土壌の劣化を引き起こし自然環境負荷に与え
る影響が大きい。
環境破壊は土砂の流失、や災害を引き起こす。

明治神宮の森の育成環境は都市型森林の理想である。

 全ての人が成長する潜在能力を持つ

受験戦争、偏差値エリート神話は思い込み。
これらは人に要求される多様な能力、特性のごく一部である。
一面的な物指しで人を評価するな!

あなたを必要とする場所と時間がきっとある。

引き算好きな日本人

あれもだめ、これもだめ、データがない、正確でない・・・と否定的に考える敗北主
義、前例主義の人が多く何事にも消極的になってしまう。
プラス思考で積極的、果敢に挑戦しよう。
大地には木を、心には夢と希望を植えよう。

子供は植林に熱中しディズニーより楽しめた

宮脇さんのお孫さん2人の体験談。
3歳、5歳の孫が植樹祭に参加し、雨の中泥んこになって自分の手で土を掘り植林し
た。
この経験がディズニーで遊ぶよりもひときわ強く幼い子供の心に残った。
中学になり1週間の海外植樹ツアーに参加した後「人が変わったように積極的になっ
た」という。
理屈や理論でなく作業のすばらしさを経験することで強くなった。
問題解決の糸口を自然は発信している。

有名な宮脇先生の著書から抜粋してみました。
          記  
2011年7月1日 福島 巖

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