蔵前バイオ通信 第9号 2011年02月06日

*******************目次 ***********************
1.林業活性化への一つのサンプル
2.
バイオガスの小型発電機の開発
COP16の日本政府の主張に賛同
4.新会員松野隆一さん、荒川英敏さんの紹介
5.イギリスのゼロカーボンハウスの状況
6.ホームページの内容と更新状況
A.コラム技術者がバイオマスを語る
B.ニュース&トピックス
7.世界のバイオ情報-佐野レポートから抜粋
(1)水と炭酸ガスから燃料を作り出すソーラー反応装置
(2)セルロース系新イーストの開発
(3)
BP 発表のEnergy Outlook 2030
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1.林業活性化への一つのサンプル


群馬県のある市で市長自ら音頭を取って小規模山林持ち主を説得、全員の同意を得た
上で広範囲な間伐・搬出を実施した。伐採した木材は市場に出荷して売り払いそれな
りの利益を出したようで山の持主に所有量に応じてお金が戻ってきたという。
悲観する話題が多い林業の現場で規模を大きくしてやれば可能性のあることが分かっ
た。全員を説得したり段取りしたりする地域のリーダーや具体的に指揮をとるフォレ
スターの誕生を強く望む所である。


2.バイオガスの小型発電機の開発


バイオマスを利用してエネルギー変換を図るには小型で小出力の発電機の開発が望
まれる。色々なタイプの発電機を検討しているが例えば。
(1)A社が小型発電機(容量30KW程度)を紹介している。
C社(自動車メーカー)のディーゼルのエンジンをガス用仕様に改造しD社の発電
機と組み合わせている。

(2)スターリングエンジンの発電機。
E社では熱源:400500℃、出力:3KWの発電機を開発した。10ℓ/minの熱水を
排出するので、この有効利用を課題にしている。



3.COP16の日本政府の主張に賛同


12月メキシコで開かれたCOP16で日本政府は京都議定書の単純延長には反対
であると主張した。排出量の半分を占める米中が参加していないためである。
堂々たる意見表明ですっきりしたがマスコミの扱いは小さかった。排出量取引のビ
ジネスに関心あるEUや先進国の援助資金が欲しい後進国の意向で延長論に傾きか
けた。温暖化排出ガスの削減をどうするかという議論でなく、各国のエゴ優先の会
議であった。

12月17日専門化の林 譲さんに「排出量取引」について講演をしていただきそ
の動向について会員の理解を深めた。


4.新会員松野隆一さん、荒川英敏さんの紹介 


松野さんは石川県立大学(http://www.ishikawa-pu.ac.jp/) の創立者であり現在学
長を務めています。この大学は生物資源環境学を共通テーマにし、バイオそのもの
を学ぶ単科大学です。セルロース系バイオマスが専門分野です。

荒川さんは工務店や設計事務所などの省エネコンサルタントをなさっている方です。
21年にも渡る英国生活で得たエコハウスの情報に詳しくこの分野での活躍が期待さ
れます。



5.イギリスのゼロカーボンハウスの状況


荒川さんから表題の講演をしていただいた(1月24日)。高断熱、高気密、再生
エネルギー使用など原則は一緒ですが実際に使われている素材は古タイヤを砕いた
もの、古新聞やお札など日本では焼却してしまうような資源を上手に活用している
点だ。政府が真剣に取り組んでいて新築家屋には「ゼロC排出」を全て適用する計
画になっている。


**********  5.ホームページの更新状況  **********


—-  A.コラム技術者がバイオマスを語る —-(1) 龍の瞳   米や野菜の新しい栽培方法・低温にして呼吸を遅らせて昼間作っ
た養分を根に配分して実を大きくする。
(2) 光合成とは何か 光を使って還元力とエネルギーを取り出し二酸化炭素を固定
する反応 ― 神が創造したと思える複雑な構造になっている。
(3)筑波大チーム石油を作る新しい藻類を発見・・・世界で苦闘している藻類からの
バイオマス久々のホットニュースです。
(4)
イギリスのゼロカーボンハウスの状況 

 —-  B.ニュース&トピックス —-

(1) 竹ビジネスについて   吉澤有介  各種ビジネスを提言(2) 生物の大量絶滅と進化を繰り返してきた地球 ― :過去の進化は時間をかけ
て変化に対応してきたが今当面している人工的な変化は急すぎる。
(3) 政府の温暖化対策 :あいまいなままで先延ばしになっている。(4) 養老川の紅葉 :晩秋の風景 澄んだ水と流れる落ち葉が美しかった。


**********  6.世界のバイオ情報 **********


(1)水と炭酸ガスから燃料を作り出すソーラー反応装置酸化セリウムには高温に
なると酸素を失い、あとで他の分子から奪い取った酸素でそれを補う便利な機能が
ある。車の排気ガス対策で使っている触媒コンバータに応用されている。
装置は酸
化セリウムでできたオープンシリンダーの上に、大径のガラスレンズを備えたもの
である。レンズを通して集光された太陽光で約1500℃に加熱され酸化セリウムシリ
ンダーが酸素原子を発散させる。底面で酸素が発生したら二酸化炭素を混合した水
蒸気をチャンバーに注入すると、酸化セリウムシリンダーは即時に失った酸素原子
を二酸化炭素と水から補充し、一酸化炭素と水素に変換して放散する。
酸化セリウムシリンダーからは酸素が失われ続けるため酸素原子が二酸化炭素と水
から継続的に剥奪され継続的に排出される。


(2)セルロース系新イーストの開発酵母はグルコースをよく消費するが、木の幹
や葉の成分となっているリグノセルローズの主要成分であるキシロースは消費でき
ない。キシロースを代謝できるこれまでのイーストのほとんどには、消費に長時間
を要するという共通した欠点があった。米国科学アカデミー紀要の報告書に「
セロ
ビオースとキシロースを単独に使ってやったらそれぞれ
48時間かかるところを、両
イーストを同時醗酵させれば同じ時間で醗酵できる糖の量が2倍になり、エタノール
の生産量は2倍を超える新しいイーストを開発することができた。」と書いている。(3)BP 発表のEnergy Outlook 2030
エネルギー需要は非OECD国を中心に40%増え、エネルギー効率の改善も進む。環境
規制の強化が続くが、大気中の
CO2濃度はIEAの目標450ppmを上回る。自動車燃料の
シェアは下がり、中国は石炭需要が減り、石油の最大需要国になる。世界の燃料構成
が大きく変わる。石油、石炭のシェアが減り、バイオ燃料の出荷は日量
180万バレル
から
670万バレルに増える。

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