蔵前バイオ通信 第22号 2013年04月01日     

  *******************目次 ***********************

1.第3回Kシステム普及会の開催案内

2.Kシステム見直し点
3.藻培養支援プロジェクト
4.バイオマス発電の課題

5.丸太薪ボイラーの検討
6.竹林タスクチームの活動活発に

7.石炭復活と日本のエネルギー政策

8.ホームページの内容と更新状況

9.世界のバイオマス情報-佐野レポートから抜粋
(1)ドイツの太陽光発電普及にブレーキ
(2)風力発電に関する懸念

(3)トウモロコシの廃棄対策

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1.第3回Kシステム体験会の開催案内
前回に続き飯能市の苅生地区にて4月9日(火)体験・見学会を実施します。集材は下げ荷です。第4回目は5月ごろ千葉県三井物産亀山の森にて揚荷の体験会を計画-詳細は4月に発表します。http://www.kuramae-bioenergy.jp/news/?p=754

2.Kシステム見直し点

前回の体験会でシステムの牽引力と速度をアップした結果いくつかの不具合部が発生した。それら設備の修正と作業者担当者にシステムを良く理解してもらう訓練を経て、この方法でどこまで集材能力があるのかを検証することをも目的に行います。

3.藻培養支援プロジェクト

プロジェクトメンバーが環境技術研究所を訪問し前橋工科大学の梅津先生の実験設備を見学の後打ち合わせを行った。梅津先生は、小規模な実験から出発し、藻の増殖が可能になれば培養量を増やして実験をしていく予定である。訪問のあと、武藤氏から連絡があり、培養実験が始まり、藻は順調に増殖している事が確認できたとの事である。 今後、梅津先生の実験では、培養液を増やし、適正な培養条件を追求していく計画になっている。

4.バイオマス発電の課題
BIN(バイオマス産業社会ネットワーク)の竹林副理事長と懇談会を実施した。彼から取り組んでいる活動内容の紹介があった。食料廃棄物や汚泥などから出るメタン発酵ガス発電、群馬県上野村の小規模バイオマス発電、相模原市の森林有効利用、山梨県道志村のバイオマス資源活用による村おこしなどに参画している。私達と一致している問題点は日本全国で計画中のバイオマス発電所の規模が、多くの場合数千kwと巨大であることである。木質バイオマスは比重が小さいため輸送コストが高く地域を越える長距離輸送では持っているエネルギーをトラックの輸送に大半を使われてしまう。また発電効率が15%位と低く見込まれ残りは熱となって捨てられるのでこれを如何に生かして使うかがポイントである。これらの基本条件を生かしたシステムにしないと採算の合う発電所にはならない。地産地消を貫き小規模(数百kw相当)発電と熱利用の完備したシステム作りがバイオマス利用のキーになる。

5.丸太薪ボイラーの検討
バイオマスの熱利用でEUなどに後れを取っているのはボイラーやストーブの利用が少ないことである。技術開発の結果EUでは燃焼効率面で100%に近い所まで近づき、煤や燃えカスの発生も少なくなりつつある。林業システム研究会ではチップやペレットだけでなく丸太そのものを燃やすガシファイヤーや丸太ボイラーの検討を始めている。燃焼の際問題になるのは充分に乾燥(含水率20%以下)した丸太であることであり、乾燥するのに必要なスペースと乾燥時間を確保することである。

6.竹林タスクチームの活動活発に

篠崎会員がヘッドになり発足したチームが7賢人のメンバーを確保して情報の収集と現地視察で活発に動いている。竹資源をどのように利用するかが最大の問題点でその特性を生かした用途を追及している。焦点を竹粉と竹炭の活用に定めて肥料や飼料としてどのような効果が期待できるか農業試験所や大学とタイアップして進める準備を始めた。関東地区のNPO「竹もりの里」や農家など関係者とタイアップして進めている。竹炭の利用効果について知多半島美浜町で放置竹林を地域の農業再生に生かそうと活動しているモリビトの会のすばらしい参考資料があります。http://www.moribito.org/

. 石炭復活と日本のエネルギー政策

日経BPの情報によると温室ガス排出に最も厳しいEUにて石炭火力が大幅に増えているという。安価なシェールガスの出現で行き場を失った米国の石炭が安くEUに流れてEUの石炭火力が2012年は前年比7%増加しているという。日本でも石炭火力復活の兆しがあり大手電力会社が検討に入っている。原発をどう扱うか、再生エネルギー推進策、温暖化対策など課題がたくさん出揃っている中、基本方針が定まらない政府のエネルギー政策が問われている。

**********8.ホームページの更新-佐野レポートから **********

(1)「炭焼き伝承燃える心」-地球の「薬」、世界で効用を説く 国際炭焼き協力会会長 杉浦銀次
http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=279
(2)リニヤーモーター研究者がヒントを見つけたマグネシウム電池
http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=278
 リチウム電池を越えるか?

(3)山林の野生動物管理について
サル学の世界的権威河合雅雄氏が近年の農業被害は「動物たちの反乱」、自衛隊の支援を求めたらどうかと提言。
http://www.kuramae-bioenergy.jp/news/?p=753

(4)世界最大の持続可能な建築技術展(イギリス)を見る
http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=272
真空ヒートパイプ式太陽温熱水システムなど注目、日本では見えない新エネルギー活動。

**********.世界のバイオマス情報 **********

(1)ドイツの太陽光発電普及にブレーキ
再生エネルギーの分野で世界最先端を走っていたドイツが普及が進みすぎた結果FITによる電気料金の上乗せ部分が15%にも達し、高料金になってしまったため太陽光発電の補助金のカットと目標発電量の引き下げを決めた。今年度は2012年度実績の半数以下にし逐次減らしていき2017年には補助金を無くす計画である。スペインやイギリスも同様な問題がでている。このためソーラーパネルが需要減で安値で買いたたかれており中国のサンテックなど大手で破綻する企業がでている。天候変動によるバックアップ費用や送電網の追加整備費用などコスト面でも負担が大きいことが表面化している。

(2)風力発電に関する懸念
風力発電が陸上、洋上更には潮流まで含めて自然エネルギーの大きな資源として注目されている。研究者によると懸念材料が多くあるという。大規模なウィンドファームの発電能力が過大評価されすぎてきたようである。それぞれの風力タービンの後ろでは、ブレードの影響で 「風の陰」 になる部分が生まれて風力が低下する。従来考えていた出力の1/2から1/3程度と見るべきであるとの研究結果が得られている。仮に地球の全土をウィンドファームで覆ったとしたら、おそらく100TW(テトラワット)を超える巨大なシステムができるかもしれないが予測では、地球上の風が影響されて、大気中のCO2の量が2倍になり、より大きい激しい気候変動が起きるだろうという予測である。http://www.sciencedaily.com/releases/2013/02/130225121926.htm


(3)トウモロコシの廃棄対策
アメリカ最大の農業廃棄物は、年間約2億トンにも上るトウモロコシの葉や茎や穂軸である。いまは畑に放置して腐るに任せ、土壌に必要な窒素やリンなどの供給源となるか、残渣が土を覆ってこれらの栄養分が雨に流されないように守るぐらいの価値しかない。調査の結果ではこれらを除去しても土壌品質を劣化させることはなく葉茎と穂軸を回収してエネルギー回収が可能であることが分かった。
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