「野鳥と共に四季の山旅」大津雅光著2017年8月1日 吉澤有介

-  白山書房2017年5月刊
著者は1941年、東京湯島に生まれ、中央大学のワンゲルOB。中学生の頃から山に親しみ、中西悟堂の名著「野鳥と共に」を読んで感銘を受けて、今日まで野鳥と共に歩く山旅を続けてきました。日本野鳥の会のリーダーの一人です。

本書には、秋田の乳頭山から四国剣山までの、60座に及ぶ山旅での野鳥たちとの楽しい出会いが紹介されています。
中西悟堂の初版から80年にして、またここに素晴らしい名著が生まれました。山の花については、田中澄江の「花の百名山」がありますが、野鳥については本書が並ぶでしょう。その山旅も、越後の御神楽岳や未丈ケ岳、上信国境の佐武流山、奥多摩のウトウの頭などの隠れた名峰もあって、つい嬉しくなってしまいます。

著者は、野鳥たちのその時々の囀りを書き留めています。山では野鳥の姿を見つけても、ほとんどが逆光になり、鳴き声だけが頼りですから、ありがたい限りです。これで見当をつけて、スマホで確認すればよいのです。ここにその一端をご紹介しましょう。

・コガラ     チッチジージージー ツーチーチージャジャ、ツーチーチージャジャ
・ミソサザイ   チュルルルル—スピススピス、チュルルルル—チイチイピチュ
・キビタキ    チュリリ、ポーピツ、ピッコロピッコロピッコロ ヒツヒ、ヒリリリリ
・クロジ     フィーチョチョチョ、フィーチョチョチョ
・コマドリ    ヒンカラカラカララララララ
・エゾムシクイ  ヒーツーキー、ヒーツーキー
・メボソムシクイ チュリチュリ、チュリチュリ  (タチカラ、タチカラ、タチカラ)
・ゴジュウカラ  フイフイフイフイフイ
・ヒガラ     ツツピンツツピンツツピン
・エナガ     チチチツ、チチチツ、チロロロロロロ
・アカゲラ    キヨツ、キヨツ、キヨツ、ケツケツケツ  タララララ—タララララ—
・イカル     キーコーキー、キーコーキー、キーキーコーキュー
・ルリビタキ   キョロキョロキョロリ、キョロキョロキョロリ キキロキロロロロ
・カヤクグリ   チリリリン、チリリリン
・アカハラ    キョロン、キョロン、ツリリリー、
・キクイタダキ  ツチチリリリリ—、ツチチリリリリー
・オオルリ    ピールーリー、ピールーリー、ピイチョーチーギギ、ピールーリー

著者の山は年季が入っています。地名や地形についても、ウトウ(善知鳥)が海鳥なのに、山の名によくあるのは、狭い谷の古名のウトウが、たまたま海鳥のウトウと同じだったからだそうです。また木々や花の名にも詳しい。本書は、そのまま「花の山旅」にもなっていました。こんな方と一緒に歩いたら、山旅がどんなに楽しくなることでしょう。「了」

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