私の読書記録「本の要約」術 2015年5月20日 吉澤有介

 1970年代に杉並の高円寺南に住んでいた頃、近くに区立高円寺図書館があって、古今の蔵書が充実していたので、ここに通ってすっかり図書館党になってしまいました。南方熊楠全集や、ミッドウェイ海戦記録などに熱中し、江戸時代の農学書から大蔵永常に深い感銘を受けました。当時私は勤務先で、生産技術と管理技術を担当していましたが、アメリカから伝えられた作業研究を学ぶうちに、彼らの元祖テイラーよりも100年も前に、わが大蔵永常が、克明に農作業を分析し、その土地に最適な農具や作物の研究を進めていたことを発見したのです。(農具便利論、農家益など) 図書館はまさに宝の山でした。
他の人は知りませんが、私は本を買うとなぜか読まない癖がありました。いわゆるツンドク派です。そこへゆくと、図書館は期日までに返却しなければなりません。どうしても読まないといけない。それに懐を気にしなくても良いから、あらゆるジャンルに遊ぶ楽しみがあります。2週間に5冊の借り読みの習慣が、その後40年も続くことになりました。
2週間ごとに図書館に通うと、選ぶというよりは、本のほうから読んで欲しいと語りかけてきます。これは不思議な感覚でした。そうなると、ただ読み捨てにするのは惜しい。
そこで読んだ本の要約を始めました。これは書評ではありません。全くの門外漢が、一読したくらいで書評などできるわけはありません。ただ自分流の要約なら、できないことはない。こんな本を読んだことがあったと、あとで思い出せればよいのです。
前置きが長くなってしまいました。私のお粗末な自己流要約術をあげてみましょう。

1. A4一枚にまとめる。なお書き残したいことが多いときだけA4二枚にする。
2. 内容を全部は入れない。ただ羅列しただけではつまらない。メリハリをつけたい。
3. 部分的に、具体的な二三の細かい話を紹介する。臨場感が伝わることをめざす。
4. 専門的な分からないところは、思い切って飛ばす。わかったフリはできないから。
5. はじめはどうしても冗長になるので、一度書いてからどんどん削ってゆく。
6. 著者の狙いだけは、何とか捉えることを心がける。
7. 要約そのものが、一つの読み物になるよう、何回も読み直して内容を構成する。
8. 文章は、できるだけやさしく、わかりやすい日本語で書く。
9. どうしても要約しきれないときは、「はじめに」と「あとがき」を熟読する。
その後で本文に戻ると、全体が見えてくることが多い。著者の思いが読めるから。
10. 最後の行の「了」が来るまで、字数がぴったり合うと気分が良い。

まあざっとこんなところでしょうか。あとはとにかく数をこなすことにつきます。とくに字数を合わせることは、訓練すれば誰でもできるようになります。私は小学校のころから、読書感想文ほど嫌いなものはありませんでした。性に合わなかったのです。でも要約なら話は別です。皆さんもぜひ本を要約してご紹介してください。どうぞよろしく。「了」

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