森林視察ハイキング、飯能市名栗地区(白谷沢から大名栗林道)

 林業支援研究会は活発なプロジェクト活動を展開中である.飯能市周辺を現地活動の舞台と定めているが、今回はその中でも森林の歴史ある名栗地区を訪問することにした。 吉澤の綿密な計画に基づき、6名の参加を得て実行した。 飯能駅に10時集合し名栗方面名郷行きのバスに乗り込む。飯能の中心部を離れると古い街道筋の商店街が現れてタイムスリップした感じがした。川筋には竹林が勢力を張っているが山を見ると杉林の緑一色になる。 名栗川を登ってゆくと途中に製材所が3カ所あったが、いずれも規模は小さく、かって日本の三大林業の一つと云われたこの西川材の産地でも林業、木材業が活力を失っている実態が感じ取れた。

「さわらびの湯」のバス停で下車しハイキングを開始する。今回のコースは奥武蔵の「棒ノ峰ハイキングコース」で白谷沢を登り、 岩茸岩から林道を名栗温泉に下る約4時間の変化に富んだ道である。                                        ダム建設でできた立派な道路を登ってゆくとロックフィル形式の有間ダムに行き当たる。このダムは多目的で760万トンの水を蓄える名栗湖になっている。

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ここから白谷沢に入る。関東ふれあいの道にもなっている人気のコースで、皇太子ご夫妻がお気に入りでよく訪れるという。

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沢は杉の人工林に囲まれているが間伐がなされているので太陽光が入りシダなどの下草が育っていた。その濃い緑が特に印象的だった。道は岩だらけの渓流を渡ったり、クサリの階段を登ったり、変化に富んでいて面白かった。白孔雀の滝など、滝が沢山あり、昨日の雨で水量が多く見応えがあった。   間伐で切られた丸太が散在しているが、大雨の時これが流れ出して下のダムに集まり処理が大変で困っていると管理事務所の方が言っていた。

上部で沢の水が突然無くなり、6m幅の広い林道に出くわす。(左下の写真)

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大名栗林道で総延長24㎞あるという。我々が出会ったのはオートバイの若い人だけだった。                     ここからよく踏まれた道を登ると岩茸岩に出くわす。何故こんな所に巨大な石が在るのか不思議だ。ここで遅めの昼食を摂る。  ハイキングコースから離れて森林視察のため、林道沿いの急な山道を名栗温泉に向けて下る。右上の写真のように、きっちりと枝払いや間伐がなされて大きな木に育っているところを観察できた。更に下ると今度は手入れがされていないひ弱な林に出会う。  山の所有者によって管理が全く違っている。

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「参加者全員」           「ガクウツギの花、道路脇に群生して良い香りを発散」

枝払いの木を杖にして下る。これからの林業支援研究会で何をするか、構想を語り合いながら温泉にたどり着いた。      温泉のオーナーで市議会議員のK氏にお会いできた。K氏は我々が提案した飯能市の林業支援プロジェクトを市の幹部に取り次いでくださった恩人である。川縁の広葉樹が大きくなりすぎて太陽光を遮り、魚がいなくなったり、根っこが木を支えきれず倒れる恐れがあるので、上空の枝を切るうまい方法を模索しているなど、現場ならではの諸問題を教えてくださった。このような現場の諸問題の解決こそが我々の使命かもしれない。

梅雨が近く天候が心配だったが改正に恵まれ最高だった。また初めて山歩きに参加した人もいて不安だったが無事工程を完了できた。満員バスで帰ることになったが、現地視察で得た成果は非常に大きなものがあった。(福島 巌記)

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