蔵前バイオ通信 創刊号 2009年09月24日

蔵前バイオマスエネルギー技術サポートネットワークの頭文字を採って「K-BETS
NPO法人の略称にしています。
このNPOは東京工業大学のOBが始めた組織で大学発祥の地「蔵前」を使用しています。
現在バイオマスに関心のある方には広く門戸を開放していますので是非お問い合わ
せください。  ホームページのURL: http://kuramae-bioenergy.jp/


 KBETSの理念
「人類が安心して住める地球環境を守るため地球の温暖化を防ぎたい。そのために
は地上に排出される炭酸ガスの量を減らす努力をする必要がある。
その一つとして
身近にあるバイオマス(生物資源)をエネルギー源として活用することを目的とし
た活動を行う」



蔵前バイオ通信発刊のあいさつ
このたび標記メルマガを発行する運びになりました。当分は隔月に発行し活動の
活発化に伴い毎月発行を目指していきたいと考えます。
まず発行し、回を重ねる毎に内容を充実していきたく皆様のご指導、ご鞭撻のほ
どお願いします。
目次
1.  NFKの高温水蒸気式ガス化炉の進捗
2.  オーストリア林業情報
3.  気の根っこを除去する機械
4. 木質繊維の断熱材
5. ホームページの内容と更新状況
6. 世界のバイオ情報佐野レポートから


NFKの高温水蒸気式ガス化炉の進捗


NFKhttp://www.nfk-hd.co.jp)が開発している世界で初めての高温水蒸気を適用
したガス化炉に注目し装置のコストダウンに技術的な支援をおこなっている。
この技術の特徴は水蒸気の超高温加熱のためにセラミックハニカム(特許登録済)
を採用していることである。熱伝達効率が高く、装置が小さくできるので可搬式と
なる。廃プラスチックを原料にしたガス化装置は2008年半ばに最初の商業プラント
が完成し(茨城県)その後運転が継続されている。
木質系のペレットやチップを従来式プロセスでガス化すると煙やスス、タールが発
生するがこのガス化プロセスは
1000℃以上の高温水蒸気の水性ガス化反応によるた
めタールは発生せず、木質ペレットを瞬時にガス化してしまう。
高温水蒸気ガス化技術は完成しているので木質バイオマスを原料にして長期に渡る
実証試験を行った後商業プラントとして完成させる計画である。
プラスチックのように炭化水素の原料と異なり木質バイオマスは酸素分子が原料に
含まれているので吸熱反応である高温水蒸気ガス化には適している。
同社は公的補助金等を申請して実用化実験を重ね木質バイオマスの商用プラントの
完成を急いでいる。技術の内容は次号から紹介していきます。
■オーストリア林業情報
オーストリア大使館から当地の現場作業の機械化、合理化に関する情報を得た。
大規模な機械化は木にダメージを与えることから様々な工夫を凝らした仕組みを作り
上げ実用化している。山の傾斜や木の大きさなど日本に似ているので参考になる点が
多い。
ボートの形をした器具を木の先端にくくり付けて3,4本の木材を馬や4輪駆動車、
ウィンチなどその場に合った方法で引っ張る方法。
パイプ状のFRPを現場で組み立てそりの滑走路を作り上げ冬季五輪のボブスレー競技
みたいに一斉に材木を落とし込む方式など。
さすが林業先進国だけに見習う点が多い。技術の売り込みにも熱心で大使館が積極
的な
PR活動を行っている。■気の根っこを除去する機械
林道を作るに当たって木の根の処理に大変な作業時間を要する。林道外でも木をロ
ープで引っ張ろうとするときその妨害物になる。内外の情報を調査した結果アメリ
カ林業機械の中にカッターで削りとってしまう方法があった。機械そのものは小さ
いので日本でも使えそう。アメリカ製林業設備は多種多様な機械が開発され学ぶ点
が多い。しかしほとんどが大型機械で山の傾斜がきつい日本では採用は難しい。     木質繊維の断熱材
北海道苫小牧に材木から取り出した繊維で断熱材を作り一般の住宅向けに売り出し
ている工場がある。㈱木の繊維 
http://www.kinoseni.com で講演会を開いて説明
を受けた。
ドイツで開発された手法で製品化されてまだ10年足らずであるがその品質と成果
が評価されて序々に広がってきている。
材木は針葉樹の間伐材を活用する。蒸気で繊維を柔らかくしてすり潰し乾燥して作
り上げる。断熱効果が大きい上に健康と環境に易しいという利点がある。
調湿性があるので住み易い上結露を抑えるのでカビが発生しない。
防音、吸音効果が大きい。木質繊維の熱容量が大きいので外気の温度が急激に変っ
ても室温の変化は少ない。
このような特性をもつので厚い断熱ボードの施工で無冷暖房に近い状態に持ってい
けるとのこと。
建設コストは高くなるが4~5年で回収できるのでメリットがあり灯油を減らす温
暖化防止の役目も果たす。
現在は北海道に限定されるが、製品の輸送コストが高くつくので需要の高い関東地
区に進出を検討中である。間伐材の積極的活用、雇用の創出といった面でメリット
があり注目している。
ミニ講演会の開催
従来講演会は大きな会場で年1~2回実施してきましたが今年からよりニーズの高
いテーマをたくさんこなせるようにミニ講演会を追加することにしました。
H/Pまたはこのページで紹介しますので関心のある方の出席をお願いします。


******ホームページの内容と更新状況******


◇ 「バイオマスとは何か」 「間伐材の有効利用」「バイオ燃料の実用化動向」
  等のバイオマスの基本についてはH/Pに解説があります。  ニュース&トッピックス:

吉澤有介の「鳥海山高山植物を見る花のトレッキング報告」があります。

福島巖の「花畑便り」1報から5報を収録、四季の移り変わりを花の観察で追
っています。

書評では「木工ひとつばなし」;安曇野で工房を営む大竹収(蔵前OB)のエッセ
イを取り上げています。使う側から木に対するほのぼのとした愛情が伝わってき
ます。


**** 世界のバイオ情報佐野レポートから ****


☆ バイオ燃料としてトウモロコシ、サトウキビ、大豆などからエタノールを作る
方法が食料の高騰を招き社会に問題を提起している。
それに代わる藻からバイオ燃料を抽出する方式が切り札として脚光をあびている。
海水または淡水の中で太陽光と二酸化炭素で藻を栽培するもので、単位面積当たり
の収量がトウモロコシなどに比べ十数倍もある。
 水は大量に使うが土地の占有面積は少ない。
燃料歩留まりも40%と高く残りも飼料や化学原料などに利用できる。
食料と無関係なこと、土地や環境に対しても悪い影響を与えないことから開発が促
進される理由になっている。

ただ現在はまだ調査研究段階で量産化の見通しは立っていない。
大手の石油会社は将来のプラスッチック原料をここから得ようと積極的に開発業者
に資金援助をしている。
 学者のコンセンサスとして社会に役立つバイオの条件として
「荒地で栽培できる多年生植物」「農業からの廃棄物」「都市ゴミ」「産業廃棄物」
から得られたものであることが望ましいとしている。

 また別にバイオマスの増産を可能にするため遺伝子を操作した微生物を使おう
という動きもある。

発行元:NPO法人蔵前バイオマス技術サポートネットワーク(K-BETS
活動場所:東京工業大学田町キャンパス内キャンパスイノベーションセンター
108-0023 東京都港区芝浦3-3-6
メールの配信停止や送信先アドレスの変更希望の場合はinfo@k-bets.jp まで
連絡下さい。

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