ロンドンオリンピック観戦記 ① 2012年8月13日 荒川英敏

  ロンドン便り その18

 同一都市で3度目(1908年、1948年)となる2012年ロンドンオリンピックが727日に開幕し、開幕前からの男女サッカーの予選リーグを入れて20日間の戦いの幕が812日に下りました。日本はメダルが金7個、銀14個、銅17個、計38個で史上最多のメダル数で、とりあえず成果を上げましたが、しかし金メダル常連の柔道、体操、水泳からの金メダルが少なかったことに課題が残りましたね。

 イギリスは金29個、銀17個、銅19個で合計65個のメダル獲得で開催国の面目躍如でした。特に伝統的なボートで金メダルを4個、乗馬で3個、以下自転車競技が8個、ボクシング3個、カヌー2個、ヨット、射撃、テニス、テコンドー、トライアスロンで各1個、更に陸上競技が4個と多岐の競技にわたってイギリス人魂を見せつけ、史上最多のメダル獲得数となりました。

 今回のイギリス旅行はロンドンオリンピック観戦を予定に入れ日本のお家芸の柔道や水泳、体操、レスリング、サッカー、女子バレー等に照準を定めてチケットの入手を試みました。チケットの入手はオンラインのみで、入手は困難を極め、連日パソコンに向い早朝や深夜にチャレンジして、結局、女子サッカーの決勝戦を含む3試合と女子バレー、女子レスリングの5つの試合のチケットを入手できました。幸いに決勝戦のチケット以外の4つのチケットは60歳以上の格安なSenior Ticket(£16.00 2,000円)で助かりました。

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  オリンピック開幕直前のロンドンの繁華街の賑わい

 以下、オリンピック期間中にK-Betsの皆様とのメールでのやりとりと重複する所がありますが、観戦記としてまとめてみました。

7月24日:聖火リレーが滞在先のイーリング区に到着

 519日にギリシャのアテネから空輸された聖火はイギリスの最西端ランズ・エンド(Land’s End)に上陸、その後、イギリス全土を約8,000人のランナーによって約12,000kmを走破し、オリンピック開催日7月27日の夜10:00にオリンピックスタジアムに到着しました。その3日前に、滞在先のイーリング区に到着、区内で数人のランナーに引き継がれ、区役所やショッピングモールのある中心街を走り沿道の大観衆の声援で盛上がり、初めて観る聖火リレーに感激しました。


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    滞在先のイーリング区に到着した聖火

7月25日:なでしこ対カナダ戦(会場:コベントリースタジアム)をWebで観戦

 開会前に男女サッカーのみが、リーグ戦と決勝トーナメントの日程の関係で試合が始まり、イギリス対ニュージランド戦の後に、なでしこ対カナダ戦が行われ、本大会2番目の試合でした。 結果は、なでしこがカナダに勝利し、幸先良し!と喜びました。イギリス対ニュージランドの試合は、BBCで放送されましたが、なでしこの試合はイギリス国内向け放送がありませんでした。これからも、相当に勝ち進んでいかないとBBCのイギリス国内向け放送では取り上げてもらえそうにないのではと心配になりました。

 ところが今回は本格的なデジタル放送時代に入ってからの最初のオリンピックと言う事で、BBC-SPORTS.COMにアクセスすると全ての試合が映像で見れることが判り一安心でした。つまり、パソコンでもスマートホーンでもタブレット端末でもBBCTV Licence(視聴料)145.00(約18,000)/年を支払えばいつでも視聴できると言うものです。ちょっと心配だったのがイギリスでの女子サッカーの人気の低さでした。ウエールズのカーデイフスタジアムで行われた、イギリス対ニュージランド戦でも観客数が半分位で、他国同士の試合の場合はもっと少なくなるのではと言われていました。なでしこ対カナダ戦が1/3位、同日の北朝鮮対コロンビア戦は観客数は1/10位でガラガラ状態でした。

 女子サッカーの不人気の背景には、男子サッカーに比べて、スピード感がなく面白味に欠ける、また、イギリス女子チームの国際大会での実績が無いことも影響しており、オリンピック初出場となる今回の大会でメダルを取れば、人気が出てくるのではないかとの報道もされていました。残念ながらイギリス女子チームはメダルが取れませんでしたが、なでしこジャパンもワールドカップで優勝したからこそ、人気が急上昇したことを思うと、イギリス女子サッカーもオリンピックをきっかけに頑張って欲しいものです。

7月26日:開会式前夜、日本男女サッカーが初戦突破をBBCが大きく報じる。

 721日にロンドンに到着した聖火は26日までロンドン市内を廻り、700万ロンドン市民の約半数の350万人が沿道で声援したそうです。開会式を明日の夜に控え、今日は最後の聖火リレーが中心街のリーゼントストリートを通り、首相官邸、バッッキンバム宮殿に立ち寄り、6万人の観衆が待つハイドパークに到着、特設聖火台に点火され、大変な盛り上がりでした。

 翌日は昼過ぎに聖火はテームズ川上流のハンプトン宮殿からスペシャルボートでタワーブリッジまで下り、ここからはサッカーのデビット・ベッカム選手操縦のモーターボートでメーン会場にサプライジングの方法で運ばれました。

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開会式当日の朝、テームズ河上流のハンプトン宮殿を発つ手漕ぎのロイヤルボート

 この日、BBCニュースは日本男子サッカーが優勝候補でヨーロッパ強豪スペインを撃破した快挙と、25日のなでしこジャパンのカナダ戦での初勝利が大きく取り上げられ、日本の男女サッカーチームの好調ぶりを報じていました。

7月27日:ロンドンオリンピック開催、テレビで観戦

 開会式は夜9:00から始まり、イギリスのグロスターシャーの古き良き時代の田園風景と農村の様子を再現し、その後、産業革命で都市化が進展する様子や新しいイギリスの様々な姿や、エリザベス女王がジェームスボンドと一緒にヘリコプターから会場にパラシュートで降下する設定が、ジェームス・ボンドが降下を躊躇している間に、先に女王が降下し、そしてつかの間、女王が貴賓席に登場するシーンは大喝采でした。

 この話は昨年ロンドンオリンピック委員会からエリザベス女王に伝えられ、女王も映画出演は初めてで快諾し、実際の撮影は今年の3月に行われたそうです。

 開会式、各種競技、そして閉会式の観客の誘導や席への案内等枚挙に暇がない膨大な運用業務の裏方として明るく活躍したロンドン市民約12,000人のボランテイアの存在を忘れることができません。ユニフォームだけは協会から支給されましたが、手弁当での活動には頭が下がります。もともと社会の絶対弱者に対するボランテイア精神が旺盛な国民だけに、この様な下支えの活動は当たり前と思っているのでしょうね。

7月28日(土):なでしこジャパン対スエーデン戦(会場:コベントリースタジアム)

 今日、初めてオリンピックの試合を観て来ました。座席がコーナーキックをする角のピッチから8列だったので生々しい活躍ぶりを目の当たりにする事が出来ました。結果は引き分けでしたが、他の組の結果で、なでしこジャパンの決勝トーナメント進出が決まった由、とにかくにも結果良しでした  


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    宮間選手がコーナーキックをした瞬間

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