英国に学ぶ住宅観 その3 Aug.4.2011

ロンドン便り その3-3

住宅の種類
次に住宅の種類ですが郊外や田舎に多い一戸建(庭付きの2階建て)が16%、2戸建
(庭付きの2階建て)が
30%、一戸建(庭付き平屋建て)9%、そして都市部に多いテ
ラスハウス(長屋風の2
3階建てで庭付き)が19%で、その他を入れると約84%の住
は庭付きとなっています。
残り
日本で言うマンションやアパートの集合住宅でもちろんこれらには共用部の専
用庭があります。英国
でマンションと言えば郊外や田舎の大邸宅のことで、意味が
本とは
異なるです。

庭付き住宅が多いせいか英国人は庭いじりが大好きで、芝生や花壇、菜園やりんごの
木に代表される果実樹等を季節に応じて手入れをし、いわゆるイングリシュガーデン
ライフを楽しんでいるわけです
(ニュートンがりんごが木から落ちるのを見て万有引
力の法則を発見したと言う話の情景が、至る所にあります)

庭いじりのなかで特に、芝刈りは家の主人の重要な仕事の一つで芝生の伸び具合と天
気のタイミングを見計らってさっと芝刈りを済ませるのがこつで、それぞれの家庭で
の芝刈りのノウハウがあるようで手動式、電気式、エンジン式と芝生の広さに応じて
楽しんでいるようです。

英国人は晴れた日の午後に自宅のイングリッシュガーデンで花や木々を愛でながら
鳥のさえずりに耳を傾けてのテイ
タイムを楽しみます。
テイ
タイムにはミルクのたっぷり入った紅茶とスコーンと呼ばれる小麦粉で出来た
お菓子に苺ジャムとクリームをつけて食べる様は
まさに英国人にとってはささやか
ではありますが至福のひとときであ
ります。

e10.jpg

ビクトリヤ時代のテラスハウスと呼ばれている長屋、当然モータリゼーションより前
に建築されたので
ガレージの設備が無く路上駐車が許可されています。e11.jpg築後80年のマンションです。裏に広い専用庭があります。e12.jpg  築後52年のテラスハウスと呼ばれる長屋で、中央の共用部庭と裏に個々の専用庭が
付いています。

日本も100年の大計を持っての住宅造り、街造り、都市造りが必要
日本も政府の指導により住宅業界で長期優良住宅と称してハードとしての建物は
物理的に
100年なり200年にわたって持たせる事は可能だろうと思いますが、現実には日
本人の住宅観を根本から
前述の英国の様な街並みを配慮した住宅観に変えない限り
震災被災地の
住宅の復興計画だけでなく、全国の都市の「街並みとセットされた長期
優良住宅
」への転換は場当たり的となり、成果を求めるのは困難な事と思います。

1.その為にはまず、100年の大計を持って下記を実行すべきと考えます
都市の長期マスタープランを再構築(住宅地域・商業地域・産業地域・
公園等緑地
地域等)
② インフラの長期プランの再構築(道路・歩道・街路樹・街路灯・共同溝
をセットとする)
③ 街区別の街並みのイメージの創造
④ 長期優良住宅の基本仕様の策定
    一戸建て、二戸建て、平屋建て、テラスハウス、低層マンション、高層マン
    ション等種類に応じ
基本仕様の策定

2次の対策をとる

・現在の街並みの中で建て替えあった時は 
 
の街並みに合ったの仕様の住宅を建てる。
 
の仕様以外は建築不許可とする。
・並行してのインフラ整備を徐々に行う。

いずれにしても日本で英国の様な街並みを造るには、途方もない時間がかかり
うですが、とにかく
行政が覚悟を決めて100年の大計を持って辛抱強く住民を説得
しながら徐々に推し進めるしか方法はないと考えます。

高福祉社会でかつ社会資本が高度に整備された環境で生まれ育った場合は、その人の
考え方や人生に余裕を与え、崇高な考え方が自然に出て来るのではないか、つまり大
人の考え方ができる大人が沢山いる国が
英国であると思えるのです

日本には美しい山河、海、草木花に囲まれた自然があり、そしてそれらを際立たせる
四季があり、日本人は本来自然の美しさを愛でる心を持ち、環境にも優しい国民であ
るはずです。
「美しい街並みとセットされた長期優良住宅の考え方」が英国
人に出来て日本人が
出来ない
はずはな! と信じています。

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