KIYOTA式 木寄せシステムのはなし(2)

4.システムのイメージ

ご理解を進めて頂くために先ずシステムのイメージについてご説明いたします。
山の高い場所と低い場所に立つ木の根元に滑車(チェーンホイール)を取り付けます。
この滑車に鎖を通して鎖のループを作ります。
ループの中に幾つかの滑車を設け,その内の一つを駆動ギアとします。
駆動ギアを駆動すればループ全体が回転します。
上りの鎖に木を繋げば木は鎖に引っ張られて上まで移動します。

下りの鎖に繋げば下まで移動します。

lsystem_edited.jpeg駆動ギアを含む部分を、小型トラックなどに載せれば狭い山道でも簡単に移動出来ます。
鎖のループに鎖を「入れ子」してやれば、ループの長さをどんどん伸ばすことが出来ます。
山の下側のテークアップ滑車を引き下ろして新しい木に取り付ければ、延長作業終了です。
木の引き上げ作業の進展に合わせて延長を繰りかえせば山のはるか下の方からも木を引き出すことが出来ます。
鎖の引き上げスピードは、非常にゆっくりで構いません。
安全を確保するため、木を鎖に取り付、取り外す時は鎖を止めます。
取り付けたら鎖を駆動し、次の木の取り付け準備をします。
終わったら再び木を鎖に繋ぎます。
こうして次から次と木を鎖に繋いでいきます。
山の上側では到着した木を鎖から取り外し重機を使って木を付近に積み上げます。
このように、Kシステムは「芋づる式」に木を引き寄せることが出来るため作業能率が
上がります。
ゆっくりと駆動すればよいので、駆動馬力を低く抑えることが出来ます。

 芋づる式の引き上げ作業でどの位の距離を輸送できるでしょうか。
簡単な計算をしてみましょう。
引き上げる木のモデルとして平均直径15cm、長さ12m、比重を0.95とすると
重さは200kgになります。
山の斜度を15°とし、この斜面上でこの木を引き上げるとします。
木と地面の間の摩擦係数を0.5と仮定すると必要な引張り力は
200×COS15°×0.5+200×SIN15°=150kgになります。

鎖の重さは2トン用に使われているランクのもので2kg/m 程度ですから200m
の往復でその総重量は800kgになります。
200mくらいの距離まで運搬が可能ということです。
200mと言えば平均的ゴルファーでドライバーの飛距離にあたり、ゴルフボール
が肉眼でなんとか見える程度の距離です。
トラックのいる作業道から沢までの距離が200m程度であれば、このやり方で十
分使い物になります。

force_edited.jpeg鎖自身の重さに対する摩擦力は摩擦係数をやはり0.5として400kgになります。
木と鎖を引っ張るために必要な力は合計1,900kgですから、2トン用チェーンなら未だ若干余裕があります。
(注)摩擦係数は工夫で下げることが出来ます。
動装置は登坂能力の高い4WDトラック(4トン車、又は2トン車)に搭載します。
鎖や滑車その他少し重いものを載せたいので、クレーンつきのトラックが便利だと思います。
鎖の駆動にはチェーンブロックなどの駆動ギアを使います。
チェーンブロックの駆動軸にオイルモーターを取り付けて油圧で駆動します。
駆動装置の動力としてはトラックのエンジンを使います。

クレーンつきのトラックなら油圧装置を備えていますので必要な油圧コントロールユニット
を付加してコントロールされた油を駆動装置に供給します。
木を鎖に取り付、取り外し時は鎖の動きを止めます。
この処理時間を短く出来れば作業性が向上します。
登山をする方はご存知ですが「カラビナ」という道具があります。

kkbina_edited.jpegmaruta_edited.jpegカラビナにワイヤーロープを繋ぎ、ワイヤーロープの他方先端に輪を作っておき
輪の中にワイヤーを通しておけば、簡単に木を縛り付けることが出来ます。
引き上げたい木の幹にこのワイヤーの輪を掛けて縛りスタンバイしておきます。
鎖を止めて鎖の空間に「カラビナ」を取り付けます。
「カラビナ」はワンタッチで取り付け完了しますから、アットいう間に作業は終了します。
取外すときはこの逆ですから、両方合わせても停止時間は気にならないほどになります。
あとは放って置けばワイヤーのたるみが取れ、ずるずると引き上げられ、いつの間にか木は
目的地に到着します。

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