イギリスの有機食品事情 2013年5月5日 荒川 英敏 

  ロンドン便り その23

 この数年、イギリスに来るたびに、スーパーや八百屋さんでオーガニック(Organic)と書かれた食品が増えてる気がしていました。オーガニック食品とは、ご承知の様に、有機農法(有機畜産も含む)よって作られた食品のことですが、一般的には農薬や化学肥料を一切使わないで栽培された野菜や果物、さらに、人工餌にたよらず、自然由来の餌で飼育された牛の肉や牛乳、チーズと言った乳製品、豚肉、鶏肉や卵等となります。

 私も当地に滞在中は、スーパーで週に一度のまとめ買いをしますが、オーガニック食品は健康に良いと信じて、多少価格が高くてもオーガニック食品を選択しています。こちらのスーパーの、オーガニック食品の品揃えの多さに驚きます。

 例えば、野菜や果物はもとより、牛乳、チーズ、ヨーグルト、食パン、パン粉、牛肉、豚肉、鶏肉、卵、ハム、ソーセージ、鮮、紅茶、コーヒー、ビスケット、ジュース類等、枚挙に暇がありません。

 どうして、日本よりイギリスではオーガニック食品が多いのか、疑問に思い、インターネットでイギリスのオーガニック食品事情を調べて見ました。

 イギリスのオーガニック食品の市場規模は図1.の如く、スタート時の1995年に比べ2012年は、ほぼ17倍の£1,700m(2,500億円)に達しています。

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  図1.イギリスのオーガニック食品の市場規模の推移

  なぜ、イギリス人はオーガニック食品を買うのでしょうか。図2.の如く、健康に良いが55%、環境に良いが44%、味が良いが35%(複数回答あり)となっています。

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         図2.なぜオーガニック食品を買うのか?

 次に、オーガニック食品は通常の食品より割高であるが、どの階級の人々が買っているかを、図3.で見てみますと、A,B層の上流階級が38.2%、C1層の中流階級が32%、C2,D,E層の労働者階級が29.8%となっています。上流階級が若干多いですが、中流、労働者階級と、まんべんなく買われている様子が見て取れ、消費者の関心の高さを表しています。

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 図3.どの階級の人々が、オーガニック食品を買っているか。

 次に、このイギリスのオーガニック食品市場を支えている、生産者側の事情はどの様になっているか、まず、オーガニック食品生産者と認定されている農家は約7,000軒あり、オーガニックランド(有機農場)と指定されている、農場の広さは全英で656,000haとなっています。ちなみに、日本の指定されている有機農場の広さは9,067haで、イギリスの僅か約1/70となっています。

 これらのオーガニック食品には図4.の認定マークが付けられています。

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 イギリスのオーガニック食品認定マーク 日本の有機農産物認定マーク
EUのオーガニックマークと共通
 図4.オーガニック食品認定マーク

  オーガニック食品の全世界の売上げは図5.の様に、2008年~2012年では4倍に伸びています。

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  図5.世界のオーガニック食品の売上げ推移

  ヨーロッパ全体でも、図6.の様に、オーガニック食品の市場は年々拡大しています。 ヨーロッパ主要国の食料品市場に於ける、オーガニック食品のシェアは、イタリア 8.7%、ドイツ 5.6%、イギリス 4.5%、フランス 2.5%で、ちなみに、日本は僅か、0.2%となっています。(いずれも2009年時)

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   図6.ヨーロッパのオーガニック食品の市場規模の推移

 一方、日本の農林水産省の資料によりますと、世界のオーガニック食品の市場規模と穀物自給率は図7.の様になっています。

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  図7.世界のオーガニック食品の市場規模と穀物自給率

 日本のオーガニック食品の市場規模はあまりにも小さく、市場シェアも0.2%で健康志向の強い国民が、オーガニック食品の有用性を理解できないはずは無く、国を挙げてまさに官民一体でオーガニック食品を盛り上げて行かなければ、TPPに参加して、「日本の農産物は品質が良い!」と、いくら言っても、オーガニック農産物でなければ、説得力に欠けるのは自明の理であります。安倍総理、日本の農業政策、しっかり頼みます。
   K-Betsにも会員の杉浦武雄氏が開発した、ラジアント式の素晴らしい有機農法があり、このシステムで栽培された野菜や果物は自然の風味たっぷりで、面積当たりの収穫量も増え、しかも省エネで環境に優しく、価格も手頃で、農家にも消費者にも嬉しいシステムであります。このシステムが開発されて以来、10数年の技術の蓄積と、主要県の農業試験所での実用試験も行われ、また、実際に数多くの農家に採用され、結果はいずれも高く評価されております。世界的にオーガニック市場が拡大している昨今、ラジアント式有機農法の良さが、日本の農家に、更に受け入れられることはもとより、オーガニック先進国の  ヨーロッパを初め、世界でも受け入れられることを願っています。(了) 

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宇高てす。 有機農産物のことが言われておりますので、宇高の台所事情です。宇高の家庭では、スーパーで、野菜・米を買うことは有りません。野菜については、現在、自然農法で栽培している農家2カ所から、有機農法で栽培している農家2カ所から、購入しております。全て、宅急便で送って貰っております。送料・野菜代を入れても、町のお店で買う有機農産物の価格より安いと妻は申しております。町の店では、とても、買えないと言っております。ただ、手間が掛っているのは事実です。野菜か到着すると、新聞紙で包み直し、冷蔵庫に保管します。これに要する時間が、結構、掛ります。その他、野菜の端境期に、野菜の注文を、どのようにするかと言ったことで頭を悩ましているようです。それと、例えば、今ですと、皆さんから、筍が来ます。毎日、毎日、筍ごはん、厭きが来ます。湯がいて、ラップに包んで、冷凍室に入れて置くと、保存が効くそうですが、ラップに包みたく無いとのことで、この保存法は採用できません。ガラス瓶に入れての保存法も有るようですが、中々、大変なようです。それから、有機農法の野菜の場合は、料理に際しての手間はスーパーで買った野菜と殆ど大差ないでしょうが、自然農法の野菜は数倍手間が掛ります。宇高は妻に、時々、言います。自然農法の野菜を取るのを止めようよと。例えば、人参を例に挙げますと、非常に、小さいのです。これでも人参?と言う位です。他の野菜も推して知るべしです。しかし、妻は、自然農法の野菜の方が良いからと言います。自然農法の野菜の調理には忍耐が要ります。 近年、有機農法ないしは自然農法で野菜を作っている農家が増えております。このような方の前歴は農家出身では有りません。ただ、子供さんがアトピーとか安全な食べ物の理由で農業を始めているようです。このような方には頭が下がります。そして、安全な食品に対する価値観を持った人は確実に増えていると思います。宇高は次のようにも思っております。今日のテレビで、上海の肉屋でキツネやネズミの肉が混ぜられて売られていたとか。他にも一杯あることは皆さまもご存知の筈です。安心して食べ物を外国(見知らぬ者)から買うことが出来ません。今、TPPで農業が問題になっておりますが、日本の農家は安全な食料をもっと前面に出して行けば、十分、生き残れると思います。農家から、直接、安全な野菜を買うようになれば、そのような篤農化は喜ぶでしょうし、それに要するコストもスーパーで買う有機野菜より安い筈です。大きなスーパーは困るかも知れませんが、 ただ、信頼できる農家を探すのは大変だろうと思いますが。それと、手間が
 しかし、多分、皆さま、病気(大きな手術が必要な病気)した場合、誰に手術して貰うか優秀な医者を探すと思うのです。大病院ならば誰でも安心できるとは思わない筈です。大病院の方が危ないかも知れません。出術の執刀を誰がして呉れるかを確認すると思うのです。

 それと同じで、安心できる食料を手にしようと思うならば、信頼できる農家を知ることが大事です。そのような信頼できる農家から野菜を買う場合、値段は、それ程、高くないと思います。ただ、手間が掛るのは事実です。楽したいと言う誘惑は強いのです。 食べ物・エネルギーに限らず、生き方自体が楽したいと言う誘惑は非常に魅力的なのです。
上記しました自然農法の野菜を取るのを止めにしようよと、時々、宇高が妻にこぼしているいるように、
 宇高 克己
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宇高家の台所事情のメール読ませていただきました。信頼おける農家を見つけられ、自然農法や有機栽培された農作物を直接農家から購入され、手間を掛けて料理している由、最も安心できる素晴らしい方法ですね。当地で有機農産物を手に入れるには、スーパーや八百屋さんで直接購入するか、スーパーか有機農産物専門のOn Line Shopping のサイトにアクセスし、注文するかですが、直接、農家から購入すると言うのは聞いたことがないですね。
良く目にするのは、各地にあるお城や貴族の館に付帯している広大な農地で、自然農法や有機農法で栽培された農産物が販売されているケースは多々あります。また、チャールズ皇太子が自身の農地や牧場でプロデユースする、農産物や畜産物は全て有機食品で、当地のトップブランドにもなっています。
有機食品は少し割高ですが、家族や自分の健康のことを思えば、それも受け入れられるのではないでしょうか。
BBC
テレビで ”You are what you eat” (あなたの体はあなたが食べたもので出来ている、つまり、健康は食から)と言うタイトルの番組があり、毎回、肥満の大人や子供が登場し、専門医によって、本人の一週間の食生活と、現状の体重や体脂肪、内臓脂肪、コレステロール等の数値によって、なぜ肥満なのかが明らかにされ、その後、栄養学や料理の専門家も加わり、健康体に導くと言うものです。番組では、時折有機食品がクローズアップされるので、視聴者の有機食品に対する関心も高まり、視聴率も結構高い様です。
日本の食料自給率が先進国で最低の昨今、輸入せざるを得ませんが、食べる側の国民も、安全で良質な食料を選ぶ権利があります。K-Betsの福島 巌さんの有吉女史著「複合汚染」や、杉浦 武雄さんが報告している「農薬や化学肥料の危険性」のレポートやメールを読めば読むほど、恐ろしいことですね。やはり、日本は自然農法や有機農法で、しっかり農作物や畜産品を作るしかないですね。これが世界の潮流ですから・・・・・。     荒川 英敏
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オーガニック情報ありがとうございました。欧米ではオーガニックに対する関心事は高い理由には「近年先進国において微量元素ミネラル及びビタミン不足が生活習慣病の元である」とロンドン大学が50年の調査の結果警鐘している。

人も動物も土壌からミネラルを吸収した植物を食べることでミネラルは摂取できる。併し近代農法による農薬・化学肥料多用は土壌微生物相のバランスをくずし農産物中のミネラル含有量が大幅に減り、従い安心・安全の観点からオーガニック食品のニーズが世界的に拡大の傾向にある。

我国は2006年有機農業推進法案制定した。即ち我国は有機農産物を積極的に生産するという法律である。当時(2006年)は全農産物に対する有機農産物の割合は0.16%であったが5年後の一昨年は0.18%、5年間で0.02%増であり、殆ど有機農法は進んでいない。これはJA指導の下、農薬・化学肥料の近代農法に依存しているからである。因みにネットで世界の農薬使用量を検索すると先進国中で我国は単位面積当たり最も農薬使用量が多いと記載されている。

以前目を通した米国の生物学者レイチェル・カーソンの50年前の著書「沈黙の春」が丁度1年前にNHK深夜便で「レイチェル・カーソン日本協会会長の上遠恵子さんが同番組で50年前の警告が現在正に恐ろしいほどその先見性に感心した話」を聞き再度読み直し現在、我国の農業に携わる方々にこの本の購読を勧めていると同時にその内容をWEBサイト『健康・安心ナビ」に小分けして紹介しているところです。
3.11後の我国では原発事故による「放射能」が取りざたされているがこの本を読んで私はむしろ化学農薬剤の方が問題物資と思っている。
3.11
の「放射能」はある特定地域での問題であるが、化学農薬剤は自分たちの住んでいる周りに散乱ているからです。

私は医学の知識はありませんが、この本を読んで癌にかかる人かかりにくい人は免疫力の低下が原因と思うようになった。

何故免疫力が低下するかは化学農薬剤を多く使用している環境に近いか否かが大きな要因と思うようになった。

仕事がら農家の方と接触の機会が多い中で、埼玉県の花栽培の奥さんおよび宮城県のトマト栽培の奥さん、ご両人とも40歳代半ばで癌で亡くなられた。何時もご主人より農薬散布や収穫の作業でハウス内の滞在が長かったよし。

正式には農薬が原因とは言い難いが免疫力低下につながったと考えられる。 杉浦

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