ロンドンのアナログTV放送終了が秒読み段階へ

ロンドン便り その11     201247日  荒川英敏

 イギリスは1932年に世界で最初のテレビ放送を開始しています。それから、66年後の1998年に世界で最初の地上デジタルテレビ放送(以下、地デジ)を開始し以来、アナログテレビ放送の完全終了をテレビ放送開始から80年後の20121024日と定め、徐々に14年間かけてアナログテレビ放送終了を全国の地域ごとに順番に終了させ来ています。ロンドンは44日から418日までの間に終了となり、ちなみに4日はBBC2(日本のNHK教育テレビに相当)が終了し、18日までに残り4チャンネルも終了となります。   全国一斉に期限を決めて終了させる事も可能だろうが、こうするとデジタルテレビの駆け込み購入の混乱や、年金生活者や低所得者がデジタルテレビの購入ができずテレビが視聴できない事態を避ける配慮から、徐々に終了させて来ています。ちなみに75歳以上でデジタルテレビが購入できない人は、自治体から手持ちのアナログテレビの上に置いてアンテナ線を接続するだけで、地デジがアナログで見れる変換器が無料で提供されます。 

 私事で恐縮ですが、1970年に日立の家電技術者としてロンドン駐在が始まった時の仕事の一つが、イギリス向けのカラーテレビ試作機の電波の強い場所や弱い場所でのフィールドテストでした。工場からの技術者と一緒に試作機を車に乗せてイギリスの主要都市を 訪問、それぞれの現地の有力な電気店の店頭で受信テストしたことを思い出します。  その後、1971年に日立が日本メーカーで最初にヨーロッパ向けカラーテレビの本格的な輸出を手がけ他の日本メーカーも追従し、イギリスや西ドイツをはじめとするヨーロッパでのカラーテレビ市場の日本製品のマーケットシェアーを大きく伸ばし、ついに1975年、ヨーロッパ全域での日本製カラーテレビの輸入規制が始まったわけであります。 

 ちなみに日立製カラーテレビのイギリス向けの量産が始まった19715月の16インチ型パル方式(フランスを除くヨーロッパ全域の放送方式)カラーテレビは現在も滞在先で40年間にわたって、アナログテレビ放送を受信しています。しかし、418日でロンドン地域のアナログテレビ放送が終了することを思うと、感無量であります。今後、アナログ放送は視聴できなくなりますが、変換器を使って、地デジ放送やロンドンオリンピックの中継をアナログでこのカラーテレビの寿命が尽きるまで視聴を続けたいと思っています。

p1060921-800×600.jpg 1971年製造のイギリス仕様の日立16インチ型カラーテレビ、木製キャビネットで奥行45cm40年経過していますが418日までアナログ放送が受信可能です。                                                                                               了

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