気候文明史・世界を変えた8万年の攻防 田家康 日本経済新聞

筆者は気候学者で最近明らかになった世界の著書を参考に過去8万年の変化をま
とめた内容である。
氷床や海底堆積物から資料採取し、同位体の分析により過去の気温の変化が
分かってきた。各地の遺跡や残留物の存在意味も解明し徐々に分かってきて
いる。

想像できない遠い過去の記録が分かり気温が乱高下していた状況と人類が如
何に苦労してきたかが分かる。

インドネシア・スマトラ島で大噴火 /トバ火山の噴火(74000年前)
過去200万年で最大の噴火があった。それによりできた噴火口がトバ湖で広さ
100km60kmの規模である。
この影響で寒冷化が加速し動植物に大変化を与えた。
15℃も気温が低下してその影響が1000年も続いた。
この影響で世界の人口が激減し1万人規模になってしまった。

人類はこの寒気を乗り越えるため衣服を着用するようになった
これをやったのが現人類の祖:ホモサピエンスであり、ネアンデルタール人
等他の種族の多くが衰退絶滅していった。
衣服をまとい体毛は薄くなったがそれから始まった氷期に生存可能域を拡げ
つつ現在につながった。

最終氷期の気候と生活
現在より平均5℃低い。壁画に残った絵からは森は無く大草原で大型草食動
物が生きる時代であった。ベルム氷期(約2万年前)人々の主食はトナカイ
だった。
海水面は低下してイギリスは大陸と陸続き、氷河はニューヨークにまで達し
ていた。雨量が少なく土地は乾燥していた。

絵に描かれている人の手を見るとほとんどの人の4つの指の第一関節から先
は凍傷で失われている。
3万年前針と糸が発明されて人類に知性の発達がみられ氷期を乗り越えるパ
ワーになった。
(恐竜はその時代寒さと戦う必要なく知能を必要としなかった)

激しい気候変動
過去の気候変動はグリーンランドの氷床コアと海底堆積物(海底コア)を分析
することで分かってきた。

例えば酸素、通常はO16であるがわずかに含まれる同位体O17やO18
(気温が高いほど多くなる)の分析をすることで気候変化がはっきりする。

氷で覆われた氷河期の間でも激しい気温変化が発生していた。
1万~3万年前が最終氷期であるがその期間中でも寒い氷期と比較的暖かい間氷
期の繰り返しであった。

巨大氷河が存在し人々はトナカイなどを狩猟して生活していた。
北米大陸では15002200年周期があり2030年は暖かいがその後数百年かけて気
温が低下する(オシュガー振動)という周期の繰り返しであった。

温暖な時代の始まり
気温が温暖化してくると陸上の氷がとけて海面が上昇する。
2万年前9千万立方kmだった陸上の氷が現在3千万立方kmで海面水位に
して130mに相当するという。
しかし1万年前3回寒冷化した時期があった。この原因をルイ・アガシが
「氷河理論」に体系化した。
北米大陸のローレンタイド氷床とコルディレラ氷床の溶けた水を集めた巨大
湖ができた。五大湖を合わせたよりも大きくアガシ湖と名付けた。
ある時これが決壊して3方向に流失した。ミシシッピー川沿い、五大湖方面
と北極海に向けてである。
アガシ湖の真水が北極海の水位を6mアップしたという。
このため塩分濃度が低下して深層海流をストップしてしまい暖流である北大
西洋海流を止めてしまった。
海面が海氷に変化すると太陽光を反射し益々寒冷化に向かうことになる。
温暖化に向かう過程でこのような現象が3回同じ間隔で発生した。

ミランコヴィッチサイクル
セルヴィアの学者ミランコヴィッチが気候の変動(氷期や温暖期)は地球軌
道の変化によるものではないかと学説を提出したが生存中には無視された、
サンプルの分析結果が分かるにつれて彼の説が正しかったことが証明され有
力な理論になっている。

木星や土星の引力の影響で長い周期で地球軌道が変化している。
(1)離心率、約10万年ごとに真円と楕円をくりかえす。
(2)地軸の傾斜、周期41000年で22度から24.5度に変化する。
(3)才差運動(コマ)、21700年毎に変化する。
北緯65度で日射量の変化9%以上あり、80万年以降10万年周期で変っ
ている。

巨大氷床の消失―縄文海進/ノアの箱船
000年前温暖化が進むと海面水位が上昇20mとか場所によっては50mに
達する所もあった。日本でも海面水位35m上昇し対馬海峡は完全に水没した、
日本海に暖流が流れ込んで冬雪が降るようになった(縄文海進)。
黒海もジブラルタル海峡が封鎖され地中海は干上がって塩田になっていた。
海面の上昇で地中海の海水が急激に黒海に流れ込んで洪水になりノアの箱船の
話ができた可能性がある。

気候と文明 - 狩猟生活の人体格が良かった
大きな河川沿いに人口が集中し農業や牧畜業が盛んになってくる。1~2万
年前見つかった成人男子の平均身長は177cmもあった。
狩猟採取生活で多様な食料を得ていた。
食料がコメや麦に限定されるとミネラルやビタミンが欠乏してきて身長が
10~15cm低くなってきた(5000年前)。

ウォーレス・ブロッカー 過去の気候変動からの学習
地球の気候は緩やかに変化したことは無い・・・突然変動する。
世界の人口は1.75%ずつ増加して行き2100年には140億人にまで膨張
する。

大気中の温室効果ガス(一酸化炭素、NO、メタン)濃度過去60万年の
サイクルレベルをはるかに超えている。

COガスは370ppmを超えその5070ppmは化石燃料からきたもの。
過去気候の激しい変動が農業生産を不安定にして生活を苦しめた。
この「猛獣」がいつ暴れだしてもおかしくない状況が現在の地球環境である。

日本の課題・・・気候変動突然発生したら?・・食料自給体制絶対必要
過去寒冷化して食料が無くなった時大戦争が始まった。
中国の戦国時代等。

                記  福島 巖

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