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2013/5/27 月曜日

イギリスの日立新幹線車両整備基地を見学2013年5月25日 荒川 英敏 

カテゴリー: 技術者の現場レポート   by k-bets 編集長 @ 0:24:14

   ロンドン便り その24
   一昨日、来英した日立時代の友人と二人で、イギリス南東部アッシュフォードにある、日立新幹線整備基地を見学する機会がありました。案内は日立鉄道部門のロンドン駐在員のY嬢で、子供の頃から鉄道が大好きで、大学院で電気工学を専攻、卒業後は日立の鉄道車両工場で、なんと電気機関車の設計業務に携わっていた由。さすが、鉄道のプロ、私達二人の鉄道オヤジの、どんな質問にも、答えてくれました。

 アッシュフォードに行くため、ロンドンの国際鉄道のターミナル、セント・パンクラス駅、09:47発の日立製Javelin Train(槍投げに例えて、ロンドン中心部とオリンピック会場を結ぶ、高速列車の愛称となった。)に乗車しました。セント・パンクラス駅は、フランスとベルギーを結ぶユーロスターの発着駅で、パリまではドーバー海峡の海底トンネル経由で2時間半で行けるので、ロンドン・パリ間の飛行機客の、大半を奪った、と言われているだけあって、ターミナルビルは大変な賑わいでした。

 ちなみに昨年は、ドイツの高速鉄道ICEがフランス経由で、セント・パンクラス駅まで試験的に乗り入れ、2年後には、現在のパリ・ブリュッセル路線に加え、フランクフルト路線も開通の見込みで、英仏独ベルギーが高速鉄道で結ばれ、セント・パンクラス駅は名実ともに、イギリスの国際鉄道ターミナルになり、益々の賑わいを見せるでしょう。

 Javelin Train は通勤型新幹線電車で、高速路線ではパンタグラフからAC25kvが給電され、在来線ではイギリス特有の第三軌条からDC750vが給電される、世界でも珍しい電源仕様となっています。通勤型なので客室の仕上げも質素で、全て自由席、225km/hの走行はとても静かで、揺れも少なく、40分後にアッシュフォードに到着、大変快適な旅でした。

 日立新幹線車両整備基地は、アッシュフォード駅の在来線の旧引込み線跡地に、2008年に新築された車両基地でした。日本の最新鉄道技術が満載された日立395型車両の、29編成(1編成は6両連結)の整備を担っているとのことで、整備の模様をつぶさに見学することが出来ました。

 ロンドンとパリ・ブリュッセルを結ぶ、高速専用の国際路線上を、ユーロスターと共同運行するJavelin Trainの運行実績の評判は上々で、特に、昨年のオリンピック観客の輸送の定時運行や、一昨年の大雪時にユーロスターが車両の故障で、運休が頻発した中、Javelin Trainだけは、ダイヤの乱れも無く、通常運行を続け着実に実績を上げて来た様です。

 これらの実績を重ねたせいか、昨年、かねてイギリス政府が進めていた、2016年から始まる、IEPIntercity Express Programme)都市間高速鉄道計画のメーンサプライヤーに、ドイツのシーメンス社、フランスのアルストム社、カナダのボンバルデイア社を押さえて、日本企業の日立が再び指名されました。

 イギリスはご承知の様に、鉄道の母国でもあり、明治初期に日本に鉄道を開通させ、  まさに文明開化の旗振りを担ってくれました。このイギリスに対して、2009年から日本の最新の鉄道技術で製造された車両を供給し、整備し、イギリスの円滑な鉄道運行に多少なりとも貢献している一端を、垣間見ることができました。

 今後、IEPでは約600両もの高速列車を現地生産する為、イギリス北部に工場用地を確保し、現地雇用を促進し、ゆくゆくはヨーロッパ大陸への輸出も視野に入れた、大型プロジェクトで、恩返しできることを、日本人として、また、日立OBとして、期待しています。

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まるで宮殿の様な、国際鉄道ターミナル、セント・パンクラス駅舎(1868年の建築)

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 アッシュフォードからセント・パンクラス駅に到着した日立製Javelin Train 

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アッシュフォード日立新幹線車両整備基地の車両入出口
 友人は、大の鉄道好きで、国内の全てのJR路線に乗車した経験や、台湾新幹線開通日に乗車したり、中国新幹線に乗車したりと、楽しんでいるようです。今回のヨーロッパ旅行でも、アイルランドの鉄道の全路線に乗車したり、フランス、ドイツ、ベルギーのローカル路線に乗車したりと、まさに鉄道三昧であります。

 ロンドンでは一緒に、西のターミナル、パデイングトン駅を発着し、在来線を200kmh走行する、デイーゼルでは世界一早い、Intercity125 や、同じく在来線を160kmh走行する通勤型デイーゼル列車に、さらに地下鉄バンク駅とウオータル駅間を結ぶ、世界一短い路線 2マイル(3.2km)に乗車したりと、私もこの2日間は鉄道漬けでしたが、様々な列車を眺めながらの、鉄道談義は少年期に戻った様で、楽しかったです。(了)

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パデイングトン駅の在来線走行の世界一早いデイーゼル列車Intercity125200kmh特急の意味)

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パデイングトン駅の在来線を160kmh走行する通勤型デイーゼル列車