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2013/5/10 金曜日

英国の農業事情について 宮地利彦、荒川英敏

カテゴリー: 技術者の現場レポート   by k-bets 編集長 @ 0:01:54

荒川 さん
英国のオーガニック食品の話題が注目されていますね。荒川さんの分析楽しく読ませてもらいました。日本の消費者も安全で価格がそこそこの農産物を受け入れそうな気がします。
家内は、中国産の大豆を使った豆腐は国産大豆の豆腐の半値くらいでも買いません。梅干もしかりです。原産国中国はすべてダメです。
英国では、オーガニック食品の価格はそうでないもに対して何%くらい高いのでしょうか。需要があっても生産しないのは、なにか産業としての農業を取り巻く環境が異なるのだと思いませんか。
 そもそも、日本の農業と英国の農業では経営的にに何が違うのでしょうか。英国の農業の担い手の年齢はどれくらいか、日本では平均60数歳と聞きますね。経営形態ー個人か、会社などの組織か、農協などの組織どうなっているのか、農業の規模はどの程度なのか、農地の所有形態は日本とどのように違うのか、規制はどう違うのかなど、日本の食管法のような制度はあるのかどうか、国家の保護はどのようになっているのかなどなど。自分では何も調べないで依頼するのは大変恐縮ですが、分かる範囲で調べられますか。    宮地利彦
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宮地さん

コメントありがとうございます。さて、ご質問の英国農業事情ですが、インターネットで検索しての、限られた情報ですが、下記します。
  記

英国は、ご承知の産業革命で農村から都市部へ人口移動が起こり、農業人口が減少したが、戦前の1930年代まで、食糧の大半を世界中の植民地からの、輸入で賄って来ていました。その頃の食糧自給率は、穀物類で10%、他の食糧では30%位で、極めて低かった様です。(もともと、平地が70%以上占めるため、大規模農業の素地があったものと思われます。)

戦後、多くの植民地が独立し、状況が一変します。時の政府は1947年に農業法を制定し、食糧自給率の向上を図る為、農家へのインセンテイブの一つとして、生産高に応じた報酬の直接支払制度の導入、その後1973年にEUに加盟し、CAPCommon Agricultural Policy)と言うEUの共通農業政策による、加盟国に応分に配分される補助金制度を活用し、EU加盟国の中でも、トップクラスの大規模農業と高い生産性を達成し、穀物生産ではグラフの様に80年初めに100%を上回っています。カロリーベースでの総合食糧自給率では、70%まで増えています。
engagri01.png

1986
年に農業法を改正し、自然環境と農村の景観の保全を重視する政策を加え、管轄する役所も従来の農業省(林業・畜産・水産業を含む)から Department for Environment, Food and Rural AffairsDEFRA)(環境・食料・農村地域省)に変更しています。この頃から、積極的に農業にも経営感覚を導入し、農場経営のマネジャーの育成や、会社組織の企業体も増やし、8時間労働や週休2日制の導入も図られて来ています。更に、食料安全保障政策も強化し、気候変動やテロ、エネルギー供給危機等からの、食料不足の緊急事態に備える為、地方自治体と民間企業とも連携させた緊急事態法を定めています。

農業事情に関して、英国を含む主要国と日本を比較して見ますと、下記の表の如くです。

engagri02.png
やはり、日本の農業は、零細農家が多く、狭い農地で生産性を上げる為、機械化しても限界があるのではないでしょうか。英国はとにかく日本の農家の44倍の大規模農業形態で、14%100ha以上の大規模農家が、全英農地の65%を占めており、少ない農業従事者でも効率よく、多くの農作物を収穫している様ですね。英国も例にもれず、農業従事者の高齢化も徐々に進んでいますが、表の様に、日本よりは若い層がまだ活躍していますね。日本はいろいろハンデイキャップがあるようですが、これらを英知集めて克服し、「有機や自然農法で安心で安全で美味しく、適正価格の農作物!」が日本農業の代名詞になることを願いたいですね。
オーガニックの農産物(畜産物も含む)の値段は、品種にもよりますが、通常品より20~40%位は高い様です。
荒川 英敏
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荒川 さん

情報有難うございます。日本と英国で、基礎条件を比較してみると、農家あたりの耕地面積は、日本が1/40、農業人口は英国6200万人x1.9%=118万人、日本12800万人x4.5%=580万人で日本が、4.9倍、仮に、農家あたりの人の数が同じであるとすると、日本の農家の数は4.9倍約5倍、日本の耕地面積は英国の約1/8でしかない。1/8の農地で約2倍の人口を養う農産物を生産するには、生産性を16倍にしないと英国と同じレベルを達成できない。しかもそれを、現在の2.5分の1の230万人で達成して、1農家あたりの収入が同じになる計算。

こんなことは、ほとんど不可能なので、まったく異なった種類の農業を考え出さないとだめなようですね。
宮地利彦