バイオマス発電所導入のガイダンス  2012年7月31日  福島 巖

バイオマスエネルギー活用の一つとしてバイオマス発電がある。固定電力買い取り制度(FIT)が始まったことで発電所建設の検討が各地で行われている。K-BETSでは間伐材の山地残材を活用すべく簡易な集材システムやバイオマスに適したガス化炉の検討をしてきている。これらの検討結果を踏まえて発電所を建設する時必要なキーポイントをまとめてみた。他の資源に比べて地域に広く薄く分布しているので集めたり、運んだりするのにコストがかかる。また単位体積当たりのエネルギー密度が低いので処理量の割に発電量が少ない。

(1)  地域の設定
どこに発電所を建設するかは集材と搬送が便利なこと、製材所や木材収集センターが近くにあること、使用者、特に熱の消費者が比較的近くにあることなどが条件になる。その発電所が受け持つ範囲は半径30km以内で木材などの資源調達が可能であること。

(2)  地域で発生するバイオマス量の推定
10年毎に間伐する前提で資材として使われず現地残材として扱われる小木、枝や端材の発生量。街路樹などの剪定屑、製材所などで発生する端材、発生材の量。建築廃材などの発生量。保管場所を含めて算出する。

(3)  エネルギー利用計画
木質バイオマスは熱利用が最も効率的である。その反面利用勝手が悪い。温水を遠隔地に送るのには配管が必要だしオンオフの頻繁な繰り返し使用は不得意である。
使い難い用途に対しては電気やガスに変換して届けるのが便利である。
ただ電力への変換効率は10%から最高で20%程度と推定されその他の部分は熱となって逃げてしまうのでこれを回収してエネルギー利用しないと変換効率70~80%レベルの確保は困難である。電熱併給(コジェネシステム)は絶対条件でその際熱をどのような形で使うかがポイントになる。公共設備(役所、学校、病院など)の冷暖房、共同浴場、ハウス栽培の暖房や農産物や木材の乾燥など考えられるが発生する熱をコンスタントに消費する得意先の確保が必要である。

(4)  稼働形態
a.その地域の小水力発電、太陽光発電、風力発電など再生可能エネルギー発電群と電力消費パターンの組み合わせを考える。発電所は連続運転か、日中だけか、季節によって変化を付けるのかなど稼働計画を策定する。近隣地域との電力のやり取りを考えて設定するが今後の変化を織り込めるような配慮が必要である。
b.調達可能なバイオマス量と運転計画から必要な出力を計算して発電能力(KW)を決定する。

(5)  発電方式を決め設備仕様を決定する

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