注目を集める天然ガス発電  2011年6月21日  福島 巖

原子力発電を停止する動きが世界的に広がりを見せる中、それを補う資源として
天然ガスが注目されている。

新しい天然ガス資源の開発が進む

米国を中心に掘削技術などの進歩により世界中に眠っていた天然ガスの存在が明ら
かになり利用可能になってきた。
新タイプ天然ガスには砂岩に含まれる「タイトサンドガス」、石炭層に吸着された
「コールベッドメタン」、頁岩(シェール)に含まれる「シェールガス」の3種類
がある。
従来タイプの生産量に加えて新たな天然ガスの増加が見込める。
IEA(国際エネルギー機関)の推定では天然ガスの需要は
2008年比2035年には62
%
の増加と見積もられ主力エネルギーになると予測している。
天然ガスが「黄金の時代」を迎えると表現している。

ガス発電機のメリット

天然ガスを使ったガスコンバインドサイクル発電の技術が進歩してきて発電効率が飛
躍的に向上している。
ガスタービンとその廃熱を蒸気に変換して発電する従来型では発電効率
40%が標準で
あったがタービン入り口温度を
1700度近くまで上げられる超高温廃熱回収では60%
超え
65%近くまでアップしている。
負荷変動に対する追従性もバルブによる燃料制御で可能なため優れている。
太陽電池や風力発電の負荷変動を調整するのはこのガス発電機とスマートグリッドの
組み合わせが最適であると見なされている。

世界的に建設がブームになっている

ガス発電所の建設費は同規模の原発の
1/10で済むこと、工期も1年程度で短い。
日本の重電各社がこの生産技術を持っていて世界中から注文を貰っている。
ガスの値段も石油に比べて安く6割程度である。
(但し現在需要量が急増、価格もアップしてきている)
炭酸ガスの発生量はH成分が多いため石油系より2割ほど少ない。

炭酸ガス抑制効果

天然ガス発電所の発電効率が高くなったこと(高燃費)と石油より炭素含有量が低い
ことから従来型発電に比らべて
CO発生量は5割程度になり、この面からも他の化石
燃料に比べて有利である。

オール電化の退潮とエネファームなどの躍進か?

原子力発電で夜間に大量に余る電力を活用したオール電化システムがその手軽さ、安
全性が受けて流行になっていた。
福島の原発事故を受けて原発の能力が落ちてしまうとこのシステムは成立しなくなる。
家庭内で都市ガス発電により電力を、その際発生する廃熱を利用して給湯や冷暖房を
まかなうコジェネシステム(エネファーム:燃料電池を利用、エコウィル:ガスエン
ジンを活用するタイプなど)が注目を浴びそうだ。

天然ガスは化石燃料

石油と同じように太古の生成物であることに変わりなく炭酸ガスの排出量はやや少な
いが地球温暖化の犯人であることは間違いない。
量も有限で何年か後にはなくなってしまう。
停止する原子炉分のバックアップや自然エネルギー回収技術開発中の過渡的な応援と
しての働きは期待するとしても最終的には再生可能エネルギーと自然エネルギーに頼
るのが本筋であろう。
                     以上

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