KIYOTA式 木寄せシステムのはなし(1)

1.はじめに

K-BETSの中での主要な研究会の一つ「林業支援搬出システム研究会」
の活動の中から生まれてきた、間伐材搬出を容易にする方法として、
林業関係者の皆様に広くご提案したいシステムの一つを紹介します。

名なしでは困るので、とりあえず最初の発案者の名前をつけて「KIY
OTA
木寄せシステム」と呼びます。
山歩きをしていると突然急斜面が
現れますが、そんな時鎖のお世話になった経験はありませんか。
少し重いが握ったときの安心感、握り締める手のひらに馴染む鎖の丸
い形状。
鎖はアクセサリーを初め私達の生活の中で実に様々な働きを
してくれています。
工業分野でも荷役、運搬分野を中心に活躍しています。 
KIYOTA木寄せシステム」は鎖を使って林業の難題、「木寄せ」
(集材)を解決したいという発想から生まれました。
日本の山林は急峻で複雑な地形をしています。

その山は日本の国土の2/3を占め、肥沃な大地と年間を通じた豊富な

降雨に恵まれ、世界でも指折りの森林率を誇っています。しかし、日
本の森林、特に人工林は今危機的な状況にあります。

戦後、木材が不足した時に政府の後押しもあり、当時の林業関係者が

必死になって植林された木が50年~60年の歳月を経てちょうど収
穫の時期に来ています。

しかし、不幸なことに海外からの安い建築材料が手に入るようになり、
日本林業は競争力を失った。森林を守ってきた林業家の数も著しく減
少し高齢化が進んでいます。
 

地球環境が危ないと言われ、世はエコブームになっていますが、地球温

暖化の元凶といわれている炭酸ガスを吸収し固定してくれるはずの森林
も手入れが行き届かず成長力が急速に衰えてきています。 

政府も補助金を出して、間伐を奨励していますがその多くは切り捨て間
伐になっています。

切捨て間伐では、残された木は勢いを取り戻すが切り捨てられた木は腐

って炭酸ガスを放出します。
大雨になると木は沢になだれ込みやがてはダムに入って水力発電所が
の処分に困っています。
橋げたに引っ掛かると橋の流失の原因にもなります。
山に入ってみると切り捨てられた間伐材が累々と横たわっている光景が、
あちこちで見られるようになりました。
 

これらの間伐材を可能な限り回収して、燃料などに使えれば、石油や電

力に頼っているエネルギー需要を少しでも軽減できるのではないか。

何とかしたいと我々山の素人が、ああでもないこうでもないといって机
上で考え出したのがこの「K木寄せシステム」です。これから読者の皆様に
理解して頂けるよう少し詳しく説明します。

実務に詳しい皆様からのご意見やご要望をお寄せ頂き、さらに改善を進
め実用化にこぎつけたいと存じます。読者の皆様のご協力をお願い致し
ます。

  2.Kシステムの原理 
登山道の鎖はなぜロープでなく鎖なのでしょうか。
ロープでは泥が付いたり、ぬれたりすると滑りやすくなり握っても力
が伝わりにくくなります。
鎖は、リンクごとにくびれがあり手で握ったときに滑りにくく、力が伝
わりやすいのではないかと思います。
また鎖は鉄をリング状に丸めて、リングがお互いに繋ぎ合わさった形で
一本の線状になっています。
リングはお互い繋ぎあっていますが、その間の空間は空いています。
この空間に間伐材を縛ったロープを引っ掛ければ鎖と木は一体になり
ます。鎖を手繰り寄せれば木も手繰り寄せることが出来ます。
山では鎖にしがみついて登山者か手の筋肉を使って自分の体を引き上
げます。
鎖を地面にたらして、鎖の長さ方向に複数の木をくくりつけ、手繰り
寄せれば木はずるずると「連続的に」引寄せることが出来ます。
鎖の大きなループをつくり、鎖のループを一方向に駆動してやれば、
鎖に繋がれた木は次々と手繰り寄せることが出来ます。
これが、K木寄せシステムの原理です。 

 3.K木寄せシステムの特長
(1)能率が良い
(2)長距離の引き寄せが可能
(3)設置が簡単
(4)設備が安い
(5)動力費が安い
(6)安全性が高い
と良いことずくめです。
今、林業に携わる多くの人々が求めていることがすべて網羅されてい
ます。
本当でしょうか!? 
次回からこれらのことを中心に一つ一つご説明してまいります。
         清田 憲正  記

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