技術者が奮い立つような目標を

COP13とダボス会議の結果に少なからぬ技術者が落胆したはずである。チャレンジ精神に富んだ技術者ほど、拍子抜けしたと思う。何故なら、技術者は100パーセントではなく、120パーセントの力を発揮出来て、はじめて到達できる目標にこそ奮い立つ習性があるから。

時のリーダーが120パーセントの目標を掲げたために、ほとんどの人達に出来っこないと思われていた技術開発を見事に成功させた例は枚挙にいとまがない。ケネディ大統領が、自信を失い閉塞感が漂っていた1960年代初めのアメリカに、活気を取り戻そうとした国家プロジェクトがアポロ計画であった。アポロ計画の成功がアメリカ社会に及ぼした好影響の大きさは計り知れない。

同じ頃、誰もがこれからは飛行機と自動車の時代と思っていた時代に、あまたの反対をはねかえし、鉄道技術の常識をはるかに超えた高速を可能とした新幹線は、敗戦から立ち直ろうとしていた日本国民に大きな自信と活力を与えた。海外の日本を見る目も変わった。外国人に新幹線を褒められ、胸を張った日本人は多い。東京・大阪を3時間で結んだ大動脈は社会システムを変える原動力となった。
このような例は沢山ある。自動車のマスキー法、ワープロの漢字変換、オイルショックへの対応などなど。
国のリーダー諸氏は技術者と技術の可能性を信じ、チャレンジ精神の旺盛な技術者達が奮い立ち、寝食を忘れて取り組むような高い目標、120パーセントの力を発揮するような目標を掲げて欲しい。単純明確な目標を示して欲しい。
地球温暖化防止こそは世界中の心ある技術者達が心を奮い立たせるに値する目標である。何よりも高邁な大義がある。

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