蔵前バイオ通信 第41号 2016年9月15日

*******************目次 ***************************
1.事業化推進検討会(清田)
2.熱エネルギー研究会(進藤)
3.林業システム研究会(渡辺)
4.アルジェ研究会(廣谷)
5.Kシステム開発プロジェクト(清田・米谷)
6.竹林プロジェクト(篠崎)
7.バイオチクプロジェクト(渡辺)
8 .ホームページによる情報発信
9.世界のバイオマス情報(編集・宮地)
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8月は、本NPOの活動は、例年通り夏休みとしていましたが、9月に入り気候も良くなってまいりました。活発な活動を再開しています。ご支援よろしくお願いします。

1.事業化推進検討会
①      K-BETSの新会員獲得について6月のシンポジュウムをチャンスとして、パンフを造り呼びかけを行うこととし、実行しました。今後も活動していきます。
②      飯能市の「もくねん工房」の廃止が決まりまた。今後バークの処理方法について相談が来るかもしれないので、対応していくこととしました。
③      FIT助成制度を使ってエリアンサスを燃料として2000KW発電所を造りたい。一緒にやりませんかとの提案が出された。エリアンサスを半炭化して燃料として使う。具体的な協力企業名も出た。木材や竹を使った他の事業紹介もあった。
④      あちこちで航空写真を撮ってスマート林業を目指す動きが始まっている。航空写真をドローンを使って実施する方策を検討したいとの提案がありました。ドローンについてはファインテックがやる気で動いているとのことです。

2.熱エネルギー研究会(進藤)
木質バイオマス発電は、事業採算性から小規模より大規模の傾向にあり、大規模の燃料調達は海外からの輸入原料に頼っています。政府の長期エネルギー需給見通しにおいて、2030年におけるバイオマス発電は、原料別では未利用間伐材等が24万kWであるの対し、一般木材・農作物残さが300~400万kWと見込まれています。この一般木材は、海外PKSや輸入チップに頼る発電計画です。しかし、これでは地域資源を使う林業再生の促進が危うくなります。未利用材等による小規模発電は、採算性だけでなく、林業再生を含めた地域の活性化に繋がる方策が必要と考えられます。

3.林業システム研究会(渡辺)
国土の保全と地域社会が持続する基盤となる林業が、ますます重要な課題になっています。各地域の自治体や林野庁が、林業の活性化に取り組んできていますが、技術開発の遅延が影響して、事業化の健全な育成が滞っています。
研究会では、各地の状況の的確な把握と、課題の抽出を継続的に進めていきます。特に、林業の将来性を展望して、事業としての健全性を高めるには、現状把握の技術革新が必須であり、林業施業計画に活かせる、技術開発を支援する活動が重要になっています。「自動操縦の空中飛行体」(ドローン)は、大きな突破口になる技術開発の課題です。

4.アルジェ研究会(廣谷)
研究会では、太陽エネルギーの変換効率が高い藻由来バイオ燃料を取り巻く状況を注視している。EUは、「2020年にはヨーロッパを飛ぶ飛行機はバイオマスから作ったジェット燃料を10%以上含まなければならない」という法律を作った。従って日米など他国の飛行機もヨーロッパを飛ぶことが出来ない可能性が有る。しかし、バイオ燃料に関して、微細藻類についてEUは遅れおり、高価なFT合成等で苦労しているはずだ。また、米国は微細藻類の研究は得意といわれるが、微細藻類トップのSolazyme社は健康食品製造会社に変わり、他のベンチャーも健康食品を目指し始めた。日本ではIHI、デンソー、J-POWERはジェット燃料に真面目に挑戦するも、コストダウンが300~500円/L程度で止まっている。これでは燃料として経済的に出来ず、コストダウンが大きな課題である。

5.Kシステム開発プロジェクト(清田・米谷)
神奈川県の県営白銀林道に面する1.6haの人工林でKシステムによる初めての長期実操業に立ち会った。作業は小さな施業会社が請負い、K-BETSの役割はKシステムの使い方を指導することである。伐採方式は4m幅×10条の列状間伐で、搬出路は最長185m、最大斜度35度の急峻な下り坂で、斜行している斜面が多く、切り株が林立し、大岩や窪地が搬出作業を困難なものにした。雨の多かった長期に亙る(6/2~7/27)支援事業であったが施業者の皆さんの熱意もあり、怪我もなく無事に終了することが出来た。搬出量実績は丸太容積で150m3になった。また試行錯誤を重ねたことも含めてK-BETSにとって多くの収穫があった。

6.竹林プロジェクト(篠崎)
①      「竹炭シンポジウムin川崎」が9月14日(水)に明治大学黒川農場で開催されます。多くの方々のお越しをお待ちしております。
②      炭化炉のデモンストレーションを行ったところ、第2号の発注がありました。

7.バイオチクプロジェクト
①      脱石油の大きな潮流の中で、バイオマス系のプラスチックの普及が世界的に重要な課題になっています。日本でも遅ればせながら、政府の5月の閣議決定によって、普及への優遇政策を打ち出す方向です。これから各方面での事業化への動きが活発化されるので、情報の的確な把握が必要になってきます。
②      今年の初めから着手した、樹勢回復ツール「ブレスパイプ」の容器を、バイオプラスチック材料に切り替えて量産性を高める製品が、12月に完成する計画です。12月8日からの2016エコプロダクツ展にサンプルを出展して、各方面への広報を始めます。

8.ホームページによる情報発信
主に吉澤有介さん(氏名記載なきもの)に要約して頂いた専門書と再生可能エネルギー関連情報です。
2016/08/19英国、月間発電量で太陽光が石炭火力を上回る 荒川英敏[社会・経済・政策]
2016/08/19「奇妙な菌類」白水 貴著2016年8月20日 [林業・農業]
2016/08/13イギリスの超低炭素自動車の最新事情 荒川英敏[気候・環境]
2016/08/06「天皇陵古墳への招待」森 浩一著  [社会・経済・政策]
2016/08/05EU分裂の危機は、人間の生物学的宿命なのか 矢原 徹一2016.7.15Japan Business Press  [社会・経済・政策]
2016/08/04ドイツ南部フライブルグ市の太陽建築設計事務所を訪問 荒川英敏[社会・経済・政策]

9.世界のバイオマス情報 (編集 宮地)
藻関連の状況
バイオ燃料の供給に、藻産業は期待される中で、過少の実績しか上げていない。そして、いま窮地に立っている藻バイオ燃料と藻を原料とした各種製品の可能性の研究結果、藻を原料とした産業規模の拡大には藻の栄養供給と捕食植物対策、燃料のほかプラスチックや繊維など多様な製品の開発、これらを製造できるバイオ精製所の実現が不可欠であるとしている。
日本に関するニュース
政府の政策によりバイオマス産業都市に佐賀市が選定されことを機に、佐賀市、筑波大学、佐賀大学の共同により藻バイオマスの利用と、佐賀市における関連研究開発について共同研究を行うことで合意に達した。
政策・方針
米国エネルギー所がオークリッジ国立研究所と共同で、2040年までにエネルギー用のほか、経済、環境、社会と、国の安全に必要となるバイオマスを10億乾燥トン供給する内容の報告書を公開し、アメリカのエネルギー省と農務省が合同で、将来必要とされる年間10億乾燥トン規模のバイオマスの供給に必要な技術とシステムに関する情報の提供を産業界、学術界、公共・民間の研究機関などに対して要請した。

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