蔵前バイオ通信 第31号 2014年11月05日

  *******************目次 ***********************

1. ボートウインチ改良品の試運転

2.日本の再エネ買取制度(FIT)の問題点と見直し

3.バイオチクプロジェクト発足 4.藻油の動力活用 について
5.「竹炭が日本を救う」の講演会

6.ジャトロファについて 7.保田理事退任

8.新入会員黒川さんの紹介など
9. ホームページの内容と更新状況

世界のバイオマス情報
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1.ボートウインチ改良品の試運転

懸案だった国産ボートウインチの改良機械が和光機械工業(株)にてでき上がった。ボートを鉄製からFRP製に変えて軽量化、汎用エンジンを採用することによりコストダウンをはかった。しかし牽引力を1トンと大きくしたので機械重量そのものはほぼ同じだった。10月初め飯能の森にて試運転を行った。実際に操作して更に改良を要する部分がいくつか分かったので手直しを行い販売していく計画である。10月山形県で行われた林業機械展示・実演会に出展しました。改良ボートウィンチ

2.日本の再エネ買取制度(FIT)の問題点と見直し

多種類の再エネ資源がある中で日本の場合太陽光発電に投資が集中し、メガソーラが大きなウエイトを占めるようになった。電力会社の送電網に問題が発生し、電力会社が買取制限を発表する事態になっている。需要と供給のバランスをどうとるか事前にもっと検討すべきであった。木質バイオマス発電は大規模な発電所の稼働開始が迫っている。資源の取り合いで山林の乱開発が出るのではないかと心配である。これを防止するための具体案を早急に検討すべきである。地域で発生する間伐材や建築廃材に見合う程度の地域の発電規模にし、他の再生エネと補完していくシステム構築を優先すべきである。また3,000kW以下の小規模発電所は今の買取価格では無理があるので熱電併用の場合電力の買取価格アップと共に利用する熱に対してもFITが適用する新システムの導入が望まれる。

3.バイオチクプロジェクト発足

バイオマスプラスチックを具体的に進めるため西武信用金庫から助成金を得ることができ、タスクからプロジェクトチームに昇格、発足しました。渡辺雅樹リーダーのもと斎藤以下5人の担当で進めます。
1)将来性を期待されるこの商品自体の調査や成形技術などの現状調査
2)微粒竹粉をバインダーとした新素材の開発を目的にした技術開発などを計画します。
4.藻油の動力活用 について
当会の藻の研究(アルジェ研究会)を担当する廣谷理事が日本の藻類に対する研究や企業の取組みに不満を吐露している。エネルギー資源の豊富な米国がエネルギー省や海軍など国家組織が団結して取り組んでいるのに日本は何もしていないと。http://www.kuramae-bioenergy.jp/news/?p=979

5.「竹炭が日本を救う」の講演会
10月18日練馬区ぶんかサイエンスカフェの集まりで篠崎理事が標記講演を行い出席者から好評を得ました。東京在住の方でも竹林の環境破壊に対する関心が強く現在開発中の大型炭化器に質問が集中したようです。別途東大大政謙次教授の要請で生態工学会にて講演してくれるよう要請され10月24日「竹林整備で日本を救う」
の演題で大勢の学会先生方の前で行いました。

6.ジャトロファについて

バイオマスの優等生ジャトロファについて日本ジャトロファ(株)松尾雅史代表からお話を伺った(9/9)。タンザニア(TA)と日本の共同事業で日本が資金と技術を提供し栽培と搾油はTAが担当、そこから得られる燃料油はタンザニアと日本で分ける。ジャトロファは数年で実を付け30~50年の寿命があり痩せ地で育つ優等生である。途上国支援・環境対策当の理想に燃えたプロジェクトではあるが課題は多い。技術面などの支援を要請された。詳細は日本ジャトロファ(株)の資料参照http://www.japan-jatropha.com/project.html

7.保田理事が理事を退任

ガス化炉を中心に燃焼炉を担当された保田理事が体調不良で辞任を申請され理事会で承認しました。
8.新入会員黒川さんの紹介
黒川俊夫さんは銀行の経営コンサルタント部門が独立して出来た総合研究所に勤務されています。エネルギーや環境分野の調査・研究を担当され渡辺雅樹会員の紹介で入会なされました。バイオマスビジネスに関して黒川さんから得られる貴重な情報を期待します。

**********.ホームページの更新 **********

 吉澤有介が次の本の要約を掲載しています

(1)「群れはなぜ同じ方向を目指すのか」レン・フィッシャー著

群知能と意思決定の科学、集団思考は危険だが多様な群知能は賢い。

http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=366

(2)「ミツバチの会議」 トーマス・シーリー著 
ミツバチはなぜ常に最良の意志決定ができるのか・・その仕組み。

http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=368

(3)「なぜ遺伝子組み換え作物に反対なのか」J・テスタール著

モンサント社の作物がいかに危険な食べ物か、セラニーニ調査結果。

http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=371

(4)「タコの才能」キャサリン・H・カレッジ著 いちばん賢い無脊椎動物:その知能の秘密に迫る。

http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=372


荒川英敏のロンドンだよりから

(5)北欧型熱交換型換気システム

日本では空調と換気は別々であるがこれを一体型に統合したシステムがデンマークで実用化されている。http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=373


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10.世界のバイオマス情報 **********

(1)地球温暖化の対処の状況

国連の報告によると2013年の大気中のGHG濃度は396.0ppmに達し、年間増加量とともに過去最大となった。今回から海水の酸性化データも含めた。IPCC 第5次評価報告書では地球温暖化を産業革命時代の気温の2以下に止める可能性が後退していると指摘した。

(2)バイオマスエネルギー

国際再生可能エネルギー機関 が世界のエネルギーミックスに占めるバイオマスの役割を分析した。2030年にはバイオマスが一次エネルギーの20%、再生可能エネルギーの60%を占め、電力と輸送分野の利用が大幅に増えると見ている。

(3)長く待たれたPOET-DSM社による、セルローズエタノールの製造が開所した。これまで捨てられてきたトウモロコシの穂軸、葉、皮、茎などがすべてエタノールの原料になる。米国エネルギー省はこのプロジェクトに1億ドル負担してきた。得られた成果はほかのプロジェクトにも提供される。最終的には年間10万kリッターのエタノールを生産する。

(4)EUが目指すバイオベース社会地元の原料を使ってバイオベース製品と市場をつくるべく挑戦をしている。利用されていないバイオマスと廃棄物を原料として脱石油化を図る。基礎原料から最終製品までを5つの価値連鎖に整理し、技術開発と商品化のギャップを埋めバイオベース産業の実現を図る。バイオベースのプラスチックや複合材料が徐々にプジョー、ルノーなど自動車産業に進出している。バイオベースポリアミドがいま着実に市場を広げている。
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機械展示会で公開した新ボートウインチ

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