蔵前バイオ通信 第6号 2010年08月10日

*******************目次 ***********************
1.元環境大臣斉藤鉄夫氏による講演会  9月に予定
2.林業を続けるためには  林業家井上さんの話
バイオブタノール開発生産の勧め
4.必要なエネルギーとその供給源
5.猛暑が続く  荒っぽくなった天候
6.ホームページの内容と更新状況
A.コラム技術者がバイオマスを語る
B.ニュース&トピックス
7.世界のバイオ情報佐野レポートから抜粋
(1)米国のエネルギー開発計画
(2)クリーンエネルギーの鍵は国際協力
(3)燃料用藻の開発状況

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1.元環境大臣斉藤鉄夫氏による講演会開催

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自民党政権時に大幅な炭酸ガス排出量削を提言された斉藤議員にその趣旨、実現の
見通し、問題点等について講演して頂くことになりました。彼の環境問題に対する
ご意見を聞き彼を交えて意見交換しましょう。 是非ご参加下さい。

日時: 9月9日(木) 講演会17:0018:30 交流会 18:4520:15
場所:東急大岡山駅下車、東工大構内 講演会/百年記念館(正門右隣)フェライト
ル 
懇親会
/生協第一食堂参加費:講演会は無料 懇親会は一般3,000円(学生は無料)
お申し込み:Eメール kvs@kuramae-kvs.ne.jpまたはファックス03-3454-8838


2.           林業を続けるためには  林業家井上さんの話


201079日 飯能の若手林業家井上さんに話しを聞く

林業の再生について現政権
が積極的に取り組もうとしている。すっかり放棄されてしまった産業が息を吹き返
すのは大変な事である。飯能は有名な西川材の産地として栄えてきたが今は市場環
境が全く変わってしまった。道路を整備して機械化で対応しようとしているがもっ
と全体的な取り組みが必要である。
戦前は「林―薪炭―養蚕」のサイクルで回っていた。林業の収入は40年の長期、20
年位の周期で薪炭林が育つ、毎年養蚕からの収入があっってバランスが確保されて
いた。

林業を続けるには炭、養蚕に代わる短期、中期の新しい収入源を確保する必要があ
る。厳しい現実が分かって参考になりました。


3.バイオブタノール開発生産の勧め


米国でバイオブタノール開発の動きが活発になってきている。バイオ燃料ではサト
ウキビなどから作るエタノールは既に一定の市場を確保しているが問題点として発
熱量が低い、水と混合するため給油所や車そのものに耐錆対策が必要になる。
これに対して
バイオブタノールは市販のガソリンとほぼ同等の扱いができる。
日本では戦争中醗酵でブタノールの生産を実施し戦闘機の燃料にしていた。有胞子
桿菌を使い糖蜜を利用して生産していた。国内ではブタノール開発の動きは全くな
いが過去の技術を活用し、世界の競争に対処して欲しいものである。


4. 必要なエネルギーとその供給源


世界の陸地にある生物資源(バイオマス)は消費エネルギーの7~8倍再生産されて
いる。太陽エネルギーを長期間蓄積した森林がバイオマスの中心である。日本は国土
の7割が森林であり毎年成長する量をエネルギー換算しても一次消費量の5%になる。
これをうまく利用できれば良いが現実は間伐材など現場に放棄されたままになってい
る。木材の搬出費用が高いためで、この費用が6000/以下にできれば灯油に比
べて充分競争できるレベルになる。

早急に集材システムを開発して林業活性化に貢献したいものである。


5.猛暑が続く  荒っぽくなった天候


 今年は長い梅雨の後連日35℃を越える猛暑が続いている。熱中症で亡くなる人が
例年になく増えている。海中でも水温異変のため各地域で不漁が起きているという。
偏西風のルートが北に移動し、モスクワ辺では猛暑と同時に山林火災が続発し生き
苦しい「サマーバケーション」を送っているという。

過去の気候変動の歴史の中では高緯度地域で温暖期に氷の溶解や多雨で海水の塩分
濃度が下がる場合に深海流が停止した。このため暖流の北上が止まり気温を下げて
長い氷河期を迎えるという繰り返しがあった。
証明は難しいがもうその段階に入っ
た可能性がある。


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  6.ホームページの更新状況  

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—- A.コラム技術者がバイオマスを語る —-(1)植物はなぜ5000年も生きるのか  鈴木英治 講談社
植物の中には3000年とか5000年も生きているものがあるのに動物は長くても100
くらいで寿命が終わるのは何故か?動物は骨格を持って移動するのに対して植物
は細胞壁で固定されている。動物は分裂の都度染色体が小さくなるように設計さ
れている。

(2)藻には夢がある  世界では藻から油を生産する研究開発の勢いが盛ん
に進められている。土地面積当たりの生産性はトウモロコシや大豆に比べて10
倍以上の能力がある。国内には栽培放棄地がたくさんあるのでこれを活用してバ
イオ燃料の生産と炭酸ガスの削減に取り組むとの提言である。

(3)ジャガイモのきた道   山本紀夫 
ジャガイモの原産地はアンデス。最初毒があって食べられなかったが毒抜き方法
を発明してインカ帝国を築き上げる原動力になった。スペインの侵略後世界に広
まり今重要な食料になっている。

(4)
八ヶ岳倶楽部Ⅱ「それからの森」 柳生 博 
柳生博さんは著名な俳優ですが、30年ほど前から自然の中の暮らしを求めて八ヶ
岳の南麓に移住しました。これはその30年にわたる森の生活の記録です。
 

—-  B.ニュース&トピックス —-

(1)みちのく原生林を巡る-Ⅰ  八幡平のブナ林や高山植物の紹介

(2)みちのく原生林を巡る-Ⅱ  鹿角付近や白神山の樹木の様子
   いずれも写真と紀行文で楽しくまとめられています。
(3)西武線小さな山旅シリーズ(その4)二子山・兵ノ沢の沢登り 
猛暑の夏を涼しくする紀行文。中高年者の沢登り、遭難者を救出するヘリが墜落する
という事件もありました。


**********  7.世界のバイオ情報
佐野レポートから抜粋 

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(1)       米国のエネルギー開発計画
防衛、健康、農業、情報技術では世界の主導権を確保しているがエネルギー分野での
実績は低い。このため革新的技術開発に対する大胆な公共投資が必要だとして5項目
の提案をしている。戦略会議の設置、新エネ革新に年間160億$の支出、研究拠点の
設置など。ハイリスクな夢の着想の実現に焦点を当てた研究に年間10億$の資金を予
定している。
(2)       クリーンエネルギーの鍵は国際協力
世界のエネルギー消費は今後25年間で60%増加する。途上国が主体でその対応には
クリーンエネルギーしかない。米エネルギー省長官の呼びかけで20ケ国以上の閣僚
や関係者が集まりその推進やプログラムを話し合った。

有意義な会議で世界中に報道され、日本も参加したが
何故か日本の新聞やTVで取り上げる所はなかった。
日本の報道機関の基本的なところが蝕まれてきているのではないか?
(3)       燃料用藻の開発状況
太陽光と炭酸ガスの消費が効率的で油を大量に生産できる藻の開発が世界の大学だけ
でも100ケ所以上で進んでいる。その中心は遺伝子の操作によるものである。
倫理委員会は強力な藻が他の藻を駆逐する、酸素を食い尽くして魚を殺すといったこ
とを心配し、警告を発している。生物は加工の都度弱くなり決してマンモスにはなら
ない、自殺遺伝子を組み込めるようにする、といった意見もある。
 

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