蔵前バイオ通信 第27号 2014年02月01日

  *******************目次 ***********************
1.バイオマス発電所の問題点について
2.
放置竹林対策について

3.軽量ボートウィンチの開発
4.秩父でメープルシロップ用森林開発
5.
再生可能エネルギーの発電能力の評価について

6.小西理事の退任
7.新会員の紹介 小田島、前田さん

8.ホットな話
9.ホームページの内容と更新状況

10.世界のバイオマス情報
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1.バイオマス発電所の問題点について
再生可能エネルギーの買い取り価格の2014年度の見直しが進んでいます。太陽光発電は値下げ、風力はアップの方向ですがバイオマスは実績が乏しく据え置きのままです。私どもが不安を感じるのは本来、間伐材利用の地産地消に徹すべきバイオマス発電が採算重視で数千kW以上の大型発電所になっている点です。公園や高速道の剪定材など供給先が安定している所以外は木材の取得に問題が発生します。先進国ドイツでもこの問題で山が坊主になってしまったり発電所が続々倒産するといった事態が起きているようです。石油高騰の折、熱の利用を優先し大型発電所の建設計画は見直して欲しいものです。

2.放置竹林対策について
昨年来鋭意進めてきた竹の利用促進については本年も重点的に取り組んでいきます。竹炭を重点課題にしての内容はもっと製造コストを下げられないか・・・炭化炉の各種試作品を実験しています。現場に運ぶ水量についても噴霧効率を上げて量を少なくするなどの技術課題の検討があります。竹炭を土壌改良及び一種の肥料としての役割を期待して農家やホームセンターに高く評価してもらえるよう具体的効果測定データを収集する活動をより強化したい。

3.軽量ボートウィンチの開発  
Kシステムの中でボートウィンチの働きは重要な役割を担っています。小規模な集材作業ではこれ1台あれば充分処理できる現場もあります。現有ボートウィンチの軽量化とより安価なものにすべく和光機械工業(株)に開発をお願いしています。汎用エンジンを利用することや鉄板製のボートをFRP製にするなど検討が進み具体案ができつつあります。

4.秩父でメープルシロップ用森林開発
秩父市大滝地区は林業の中心地であったが現在は広い森林からはほとんど付加価値のあるものが生まれていない。NPO「秩父百年の森」からの提案があってカエデ林を造成してメープルシロップを作り、地場産業を育てようと活動を開始している。自生カエデ3千本は調査で確認したが針葉樹を伐採してカエデと針葉樹の住み分けにより秩父林業再生を果たしたいという目標を持っています。その伐採・集材として簡易型Kシステムの検討をしているとの情報がありました。

5.再生可能エネルギーの発電能力の評価について
太陽光や風力などの再生可能エネルギーの発電能力についてマスコミに取り上げられていますが誤解を与える内容が多いので注意が必要です。例えば「太陽光で200kWの発電設備が導入されたから原発2基分に相当する」という記事は誤解を与えます。夜間や曇りなど発電不能な時間を考慮すると実質発電できる時間は少ないので設備利用率は約12%、また風力発電も風の無い時を考えれば2030%と見られています。これらを考えて1年間に発電でき得る実質発電量「A kh」が能力であり、「B kW」は発電設備の最大出力量なので、代替エネルギの発電能力評価には設備利用率を考慮して比較する必要があります。

6.小西理事の退任
元理事長を務められその後も理事として活躍されていました小西達雄さんが自己都合により理事を退任なされました。しかし今後も特別顧問の立場で引き続きご指導をお願いすることになっています。

7.新会員の紹介 小田島、前田さん
小田島さんは製鉄所の計測制御設備の開発や操作・保全などに取り組まれ実験装置やデーター採取などに詳しい専門家です。これから取り組む各種開発の現場で大いなる貢献を期待します。前田さんは松本市で「さとやまエネルギー(株)」の会社を立ち上げ小水力発電やバイオマス利用を具体的に手掛けています。交流を通じてお互いのレベルアップを狙っていく予定です。

8.ホットな話
昨年末に発生したおめでたい話。会員の中で仕事中やお酒を飲みながらの懇談の中で家族のような交流があります。家族の話題も時にでてきてAさんの息子さんとBさんの娘さんと会ってみたらどうかなんてこともあります。会ってみたら二人、意気投合してしまい11月には結婚式、1月には新婚旅行と、とんとん拍子で進み素晴らしいK-BETS起源の新家庭が誕生しました。

**********.ホームページの更新 **********
以下の4項目は吉澤有介さんの要約内容です。


(1)「海はどうしてできたのか」藤岡換太郎著

地球誕生以降危険な海から生物が住むことのできる地に変わる変遷の歴史を語る。http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=324


(2)「遺伝子組み換え食品の真実」アンデイ・リーズ著

遺伝子組み換えにより新品種が誕生している反面非常に危険な現象を伴ってもいる。着陸地点の見えない原子炉の廃棄物同様、人類に及ぼす暗部が分からないだけに不安が高じる。みなさん是非原書を読んで下さい。
    http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=323

(3)「多種共存の森」 清和研二著 理想の森は人工的に管理された姿でなく生物の生存競争によって成り立つ自然林(=鎮守の森)である。
    http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=322

(4)「流氷」(白いオホーツクからの伝言) 菊地慶一著

シベリアの大河アムールが運んでくる水とプランクトンによってオホーツクは塩分濃度の低い層が形成され流氷が発生する。ここに動物と魚の天国ができあがっている。

http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=322

(5)未来共通セミナ(森と地域を生かす)参加記録 岩田頼次郎
地元産の木材で女性がフローリングを開発して多くの賃貸マンションに採用された事例など。
    http://www.kuramae-bioenergy.jp/news/?p=865

**********10.世界のバイオマス情報 **********

(1)2013年度と今後のクリーンエネルギー

クリーンエネルギー化の技術は進展したが実質的効果は余りなかった。石炭の消費が増加し温室効果ガスを増やしているからである。二酸化炭素を分離・回収し地下に押し込むCCS技術の進展に期待がかかる。車の排ガス関連ではテスラ社の電気自動車が好調な実績を上げたことが評価され、自動車業界を刺激している。

日本の配電網は急速に容量いっぱいに近づいており、変動幅の大きい再生可能電力の処理が難しくなってきている。太陽光発電計画がひしめいており対応が急がれている。

(2)バイオマス燃料の研究状況 

米オークリッジ研究所によると、木質バイオマスからバイオ燃料を作る時の前処理段階で繊維間に含まれる水の脱水に繊維間の距離が接近して分解し難くなること、リグニンとヘミセルローズが加熱で相分離することが大きな研究課題であるとしている。ノースカロライナ大では植物から簡単・低コスト・高効率のリグニン除去法を開発したと発表した。

(3)太陽エネルギーによる水素直接生成
太陽熱を使い水を分解して水素を生成するための触媒の研究が進んでいる。ヒューストン大らの研究で酸化コバルトナノ結晶を使った触媒で水から水素を作る工程で最終変換効率5%を達成した。スイス連邦工科大学では触媒に安い硫化モリブデンを、光電陰極には酸化銅を使って経済的に有利な技術を開発した。
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梅に先立ちロウバイが開花してます
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